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データの基本等計量(度数、平均、標準偏差、最大値、最小値)を求める。 構文 PROC MEANS DATA = SASデータセット名 統計量キーワード オプション; VAR 変数1 変数2 … ; CLASS 変数1 変数2 … ; BY 変数1 変数2 … ; ID 変数1 変数2 … ; OUTPUT OUT = SASデータセット名 統計量キーワード; その他オプションステートメント; run; VAR 統計量を求めたい変数を指定。 CLASS サブグループを形成する為に使う変数を指定。(文字変数 or 数値変数・・・OK) BY BY変数で定義されるグループごとに分析する。(予め、SORTが必要) ID 出力データセットに追加保存する変数を指定。(変数を1つだけ指定すると、各グループ内での最大値が出力) OUTPUT 出力データセットの名前、出力する統計量、その変数名を指定。 ・オプション DATA = SASデータセット名 MAENSプロシジャで処理するSASデータセットを指定。 DESCENDING 標準値:ASCENDING _TYPE_の大きい方から順に出力データセットに書き出す。 IDMIN 各グループ内でのID変数値の最小値を出力するように指定。 MAXDEC = n 標準値:2 結果をプリントするときの小数点以下の桁数を0~8の範囲で指定。 MISSING 欠損値もCLASS変数の有効な値として扱うことを指定。 NOPRINT 標準値:PRINT 要約統計量をプリントしないように指定。 NWAY _TYPE_の値が最大値を持つオブザベーションだけを含む統計量を出力するように指定。 統計量キーワード N サブグループ中の欠損値でないオブザベーションの数 NMISS ある変数について欠損値を持つサブグループのオブザベーションの数 MEAN 平均値 STD 標準偏差 MIN 最小値 MAX 最大値 RANGE 範囲 SUM 合計 VAR 分散 USS 無修正平方和 CSS 修正済み平方和 CV 変動係数(パーセント表示) STDERR 平均の標準誤差 T 母平均=0の仮説検定のためのstudentのt値 PRT 仮説の下で実現値以上の絶対値を持つ上記のt値が出現する確率 SUMWGT WEIGHT変数値の和 + Sampleへのリンク +
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FISHER
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【登録タグ B GUMI KIRA VOCALOID Youtubeミリオン達成曲 曲】 作詞:KIRA 作曲:KIRA 編曲:KIRA 唄:GUMI English 曲紹介 「light me up and burn me DOWN DOWN DOWN!!」 クリスマスの日に出された、中毒性がある楽曲。 YouTubeではミリオンを達成。 ボカロ調教もKIRA氏が、動画はル季氏が、イラストはEkkoberry氏が、エンコードはcheesum氏が手掛ける。 歌詞 (配布zipより転載、一部編集) Boy, I feel The temperature rising My heart stops You struck me like lightning Can't fight This feeling inside me Time's up I got you in my sights It's just the way you do to me What you do to me (It's human nature) Tonight, it's only you and me Baby, set me free So, take me up Make me fall and Show me what Lies beyond and Light me up Light me up and Burn me down down down down We'll Keep it secret In the dark They won't see it Light me up Light me up and Burn me down down down down Let's Play a game I'll make the rules No explaining Light me up Light me up and Burn me down down down down Come Take me over Throw me down Pull me closer Light me up Light me up and Burn me down down down down So dangerous The way you got me I'm burning up inside I can't breathe Blackout There's nothing I can see But you (But you) It's just the way you do to me What you do to me (It's human nature) Tonight, it's only you and me Baby, set me free So, take me up Make me fall and Show me what Lies beyond and Light me up Light me up and Burn me down down down down We'll Keep it secret In the dark They won't see it Light me up Light me up and Burn me down down down down Let's Play a game I'll make the rules No explaining Light me up Light me up and Burn me down down down down Come Take me over Throw me down Pull me closer Light me up Light me up and Burn me down down down down 'Cause I can't stop thinking about you, baby My baby So let's just go all the way tonight Forget what's on your mind Except for Me So, take me up Make me fall and Show me what Lies beyond and Light me up Light me up and Burn me down down down down We'll Keep it secret In the dark They won't see it Light me up Light me up and Burn me down down down down Let's Play a game I'll make the rules No explaining Light me up Light me up and Burn me down down down down Come Take me over Throw me down Pull me closer Light me up Light me up and Burn me down down down down down. コメント 名前 コメント
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※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1〜 ※注意事項 このお話は『ゆっくりをのぞむということ1』の続きです。 人間は介在しません。 登場するゆっくりは全滅しません。 ぼくのかんがえたさいきょうゆっくりが登場します。 全部で4か5ぐらいまでで終わるといいな。 数千を数えるゆっくりたちが、代々営々と築き上げてきた彼女たちの棲家たる地中の大洞穴。 ただの一匹がすべてのゆっくりを享受するため、残りの全てが日々黙々と働き続けるこの異様な世界で、 今ひとつのショーがクライマックスを迎えようとしていた。 「ウサウサ☆」 「びぶれっ!?」 どんっ、と勢い良く突き飛ばされて、もはやぼろくずと見まがうばかりの惨たらしい姿に 変わったまりさがごろごろと傾斜のついた洞穴の中を転がった。 無機質な笑顔を連ねてこの処刑ショーを見守る働きゆっくりの壁の中で、 りーだーまりさはまるで生きた心地がしていない。 餡子を吐いて逃げ惑う目の前のまりさの姿を、ごく近い未来の自分に重ね合わせずにはいられないのだ。 「ゲラゲラ!」 「あひゃい゛!!? ごっ、ごないでえぇっ!!」 悠然と跳ねて追い掛けてくるうどんげに気づき、まりさは哀れみを誘う悲鳴をあげると傷ついた体に 無理を押して二匹の処刑執行人から逃れようとする。 無論、満身創痍のまりさが健康そのもののてゐやうどんげを振り切れようはずがない。 ましてや周囲には兵や働きゆっくりで作られた壁がある。 救いを求める切迫した眼差しを、生に固執し救いの手を差し伸べぬ周囲へと無限の憎悪を投げかける 血走った瞳を、とっさに目を背けて忘れ去ろうと努めたりーだーまりさを含むゆっくりの壁がある。 そんな壁の中の一角に、脅えきった様子のゆっくりが兵ゆっくりに囲われているのは処刑の順番を待つ連中だろう。 「だっ、だず、だずげっ……え゛びぃっ!?」 果たして、この期に及んで何の動揺も見せない同胞からの救いの手を本当に待したのかはわからないが。 必死の思いで同胞の作る壁にすがり付いたまりさを迎えたのは、もちろん助けの手でなどあるはずがない。 相も変らず無機質な笑みがずらりと連なる壁からの答えは、 まりさを取り囲むように飛び出してきた兵ゆっくり達の手荒い歓迎だった。 「ぺにす!」 「ぺにす!」 「ちんぽ!」」 「やめっ、やめやべやべべぶべらっ!?」 右から、左から、前から、後ろから。 うっかり殺してしまわないようにと手加減された打撃も、 今のまりさにとっては逃走と抵抗の意思を根からへし折るには十分すぎる。 たちまち、新たな傷をあまた増やしてまりさはみょん達にまた輪の真ん中へと弾き飛ばされるのだ。 執行人たちが酷薄な笑いを浮かべて悠然とまりさの帰りを待つ、あの処刑場の真ん中へと。 この残酷な公開リンチを、りーだーまりさは一度は泳がせた視線を真正面に戻して再びじいっと直視していた。 口元に無理に浮かべた微笑は誰の目にも硬く、顔色は病的なまでに青褪めている。 なんとか自然を取り繕おうという彼女の意思に反して、その面差しは到底尋常の様子には見えない。 (なんで、まりさをわざわざよびつけて『これ』なんだぜ?) それが不幸なことか、幸福なことか、にわかには判別しがたいことだったが。 この時、りーだーまりさは一般のゆっくりがよくそうするように、思考を停止し、 全てを忘却の彼方に追いやることができなかった。 気が遠くなるような怯えを必死に堪え、りーだーまりさは餡子脳をフルに稼動して自問する。 幸い、考える時間だけは十分にあった。とりあえずわからないのは、 自分がこの場に呼びつけられた理由についてだ。 このショーがなんのために行われているのか。 それ自体についてならば、りーだーは当然の知識としてその理由を知っていた。 これは、この群れの掟を破った咎ゆっくりに対する制裁だ。 全てを女王のために捧げる真社会性ゆっくりの中にも、怠けるものは常に存在する。 その中の一部は、群れのために働くどころか自身の欲望を満たすためだけに行動するのだ。 それは例えば仕事の放棄であり、例えば貯蓄された食料の窃取であり、 例えば自分の子を欲しての子作りであり、例えば巣からの脱走であったりする。 今回のケースは盗難だ。 先ほど目を背けたときに、齧られた後のあるキノコが幾つも脇に置かれていたからそれは間違いないだろう。 だが、同時にりーだーまりさは、この制裁が本当に意味するところをもまたその本能の内に知っていた。 それは即ち、ひめさまに全ての『ゆっくり』を捧げるために決して犯してはならない最大の罪――、 すなわち、『自我を持つ』という重罪を犯したゆっくりの排除に他ならないのだ。 その罪は、生まれた瞬間に二匹の姉妹の命を奪い去り、いまやりーだーも等しく犯している重罪でもある。 では、自我を持つことがなぜ重罪なのか。 りーだーまりさは、その事も積み重ねた経験からうすうす感じ取っていた。 ゆっくりすることを望むゆっくりは、あまりに脆弱な生物だ。 ちょっとしたことで傷つき、ちょっとしたことで簡単に死ぬ。 尋常の手段では、ゆっくりを手にすることなどかなわない。 尋常の手段では。 ならば、尋常の手段でなければどうか。ただ一匹のために、全てのゆっくりが『ゆっくり』を捧げれば、 その一匹だけは十分にゆっくりを満喫できるはず。 そのためだけに、たとえ一匹だけであってもゆっくりがゆっくりらしく生きるという目的のために、 この群れが出した回答が今の形への進化だった。 一世代ごとにただ一匹、そのために費やされてきた数多の犠牲、 その重みが自我に対する絶対的な禁忌として自ずと群れを縛り、そこからはみ出したりーだーをも縛る。 ゆっくりする、という本能を貫くために、ゆっくりしないという新たな性質を本能の中に書き加えた。 その歪な相反する性質が、群れのあり方を縛り付けるのだ。 だから働きゆっくりが自我を持つということは、 それ即ち群れがこれまで積み上げてきた全てに対する根底的な反逆だ。 それを知性の枠の外で本質的に悟っているからこそ、りーだーまりさは恐怖した。 このまりさの処刑が終わった次には自分が呼び出され、 同じようになぶり殺しの目にあう未来を予測し、おびえたのだ。 でも。時間が経つに連れ、りーだーの餡子脳にも平常心が戻ってくるようだった。 (……でも、えーりんさまはいまここにはいないんだぜ) それが少し、心強いことではある。 りーだーまりさはえーりんの信頼を受けているという自信があった。 自分に自我があるという自覚が生まれてからというものの、まりさはずっとゆっくりしないように、 自分が他のゆっくりより優れたゆっくりになるように努力を怠ることがなかった。 何事にも他のゆっくりたちと明らかに異なる反応を示し始めた自分自身を、 えーりんたちに隠しとおせるはずがないと思っていたからだ。 だから、なおさら群れのルールを守り続けることに執着したし、 そのルールの範疇で能力が高いことを示してえーりんの評価を得て身の安全を確保しようとしたのだ。 そして、実際にりーだーまりさはえーりんから高い評価を受けて、ヒラからりーだーの一人にまで引き上げられた。 今でも危険な仕事を優先的に回されたりして忠誠心と能力のチェックは受け続けているが、 えーりんの立会いなくいきなり殺されるようなことはないだろう……その程度には、楽観できると思っている。 と、なると――? 「たぶぇたのびゃっ!? ばっばりざじゃなぎいいいぃぃぃっ!?」 「ゲラゲラゲラ!」 ようやく方向性を見出してきたりーだーまりさの思索――そして現実の働きまりさの処刑も、 そろそろ佳境に差し掛かったようだ。 息も絶え絶えに言いつくろおうとしたまりさの言葉が、途中で聞くに耐えない絶叫に変わる。 悪戯っぽい笑みを浮かべたてゐに、後頭部の頭皮ごと噛み千切られたのだ。 うどんげの耳障りな狂笑に長く尾を引く悲鳴が合わさり、薄暗い洞穴の中に何重にも繰り返し反響する。 「ぐぎぎっ……まりざのっ、がみっ! きれぇながみがぁっ!?」」 「ウサウサ☆ かみのけのしんぱいしてるばあいじゃないでしょ……うどんげー♪」 「ゲラゲラゲラ!!」 激痛という表現も生ぬるい苦痛を受けながら、 ぬすっとまりさは地面を転げまわってその痛みを表現することすら赦されない。 ウサウサと冷たい薄笑いを浮かべるてゐの呼びかけに応じ、 うどんげが素早くまりさを挟んで反対側に回り込んでいた。 耐え切れず、それまで思考のうちに逃避しながらも視線は離すことが出来ないまま 凶行の一部始終を直視していたりーだーまりさがぎゅっと硬く目を瞑った。 だが、その餡子脳の内には予測しうる次の展開が直接目視しているかのように鮮明に描き出されている。 重なるダメージからとっさに逃げ出すこともままならず、悶え苦しむまりさを左右から挟み、 両の側面から同時にかぶりつき、真っ二つに引き裂く――、 「はい、そこまで」 「ゆゆっ、おししょうさま!」 「おししょうさま!」 ――その、直前だった。 「てゐ、うどんげ……ほんとに、もう。つかいでがあるからほどほどに、っていったはずなのに」 輪の外から輪の中心へ、唐突に投げ入れられたため息交じりの冷ややかな声音。 その光景が、まりさの想像を、現実の惨劇を、強制的に中断させた。 働きまりさの両の頬をぐいぐい引き伸ばしていたてゐとうどんげがびくりと身を総毛立たせて振り返った。 慌てて声の主の名を呼ばわった時に死刑執行寸前の犠牲者は辛くも解き放たれて、 かといって自ら起き上がる余力もなくぐったりと地に倒れこむ。 ばつの悪そうな半笑いを浮かべて、てゐとうどんげが振り向いた。 自身を呼びつけた主の登場に、恐る恐るりーだーまりさも振り向いた。 相も変らぬ無機質な面差しのまま、壁成す数多の兵と働きゆっくりも声の主へと向き直った。 そして一同、例外なしに、深々と顔だけの体を前へと傾け声の主へと敬意を示す。 群れの序列にして『ひめさま』に次ぐナンバー2。 皆に『おししょうさま』と称し敬われる、ゆっくりえーりんの姿がそこにあった。 * * * 「ゆぅ。そのこたちがこんどのはたけあらしってわけね?」 数分後。先刻までこの場にあったゆっくりの円陣は、 今は形を方陣に変えてえーりんの前にずらりと並んでいた。 その一角に、えーりんから召集を受けたりーだーまりさ他のりーだー達の姿もある。 ただし、ため息交じりにえーりんが投げた問いかけを受けているのは彼女達ではない。 召集場所で馬鹿騒ぎを繰り広げていたてゐやうどんげ達のほうだ。 「はい、おししょーさま。とーぜん、しけいですよねー?」 っていうか、もうにひきほどころしちゃいまいたしー。 そう笑いながら嘯くてゐには、今は悪びれた様子もない――相方のうどんげは、 いかんせん居心地が悪そうにしていたけれど。 (……ゆ? さっきのさわぎは、えーりんさまのめーれーじゃないのぜ……?) りーだーは、そんな二匹を今はすっかり落ち着いた表情で眺めていた。 状況が、どうもつかめない。さっきの馬鹿騒ぎ、これはこの二匹が勝手にやからした暴走なのか。 ありえる話ではある。この群れではてゐとうどんげは兵ゆっくりのりーだーになるべく 胎生にんっしんっで生み出される(幹部ゆっくりは皆そうだ)ゆっくりで、限定的なものだが全員に 自由意志があった。 特にてゐ種は悪ふざけを好む傾向があり、自由意志を持たない一般のゆっくりがよく彼女達の悪戯の被害にあっている。 今回の騒ぎも罪ゆを一網打尽に捕らえたてゐが、うどんげを巻き込んでいつものように暴走したとすれば それなりに説明はつくようにも思えた。 しかしそれにしては、畑荒らしの捕縛そのものはえーりんも知っていたようだが……、 (そういえば、「つかいでがあるからほどほどに」っていってたきもするぜ) そう、確かにえーりんがここに現れたとき最初にそういっていたはずだ。 ますます、りーだーまりさはわからなくなった。見せしめに潰すのではなく、暴行そのものも目的でなく、ましてや『自我』のある自分の粛清など眼中にないとするなら、いったい何で自分達は呼ばれたのだ。 「ねえあなたたち、はんせいしてる?」 「はんぜいじでまずううぅ! いっじょうげんめいはだらぎまずがら、ゆるじでぐだざいいぃぃ!」 「でいぶももうばるいごどばじまぜんがらあああぁぁぁ!」 「ばりざもごんどごぞびめざばのだべにづぐじまずううぅぅぅ!」 「ひめのだべならじねるうううぅぅぅ!!」 りーだーまりさの困惑をよそに、呼びつけた当の主人は咎ゆっくり達にゆっくりとした様子で話しかけている。 先ほどは処刑劇に気を取られて気がつかなかったが、 みょんやめーりんなどの兵ゆっくり達に囲われて縮こまる咎ゆっくりの数は意外に多かった。 全部で三十は超えるだろうか――りーだーが理解できる数は十までだったから、 この場合は「じゅうにんがみっつぐらい」が正確な表現だ。 ここまで連れて来られる間にも暴行を受け続けていたのだろう、 土や餡子で汚れた顔が口々に訴えるのは異口同音、謝罪と命乞いの言葉。 その聞き苦しい哀れみを請う声の数々に、えーりんはにっこりと穏やかな笑みを返す。 「そう! それはとてもすばらしいわ。じゃあ、ひとつしごとをあげるから、ゆっくりしないでがんばってね?」 「……ゆ!? はい、はい、はいぃぃっ、がんばりまずっ!」 字面だけとれば、いかにも慈悲深いえーりんの言葉。 それを額面どおりに受け取って、文字通り泣いて喜ぶ無邪気な同種の姿とは裏腹に、 りーだーまりさははますますゆっくりできない思いを深く募らせる。 感謝の言葉を受けるえーりんの微笑みは、うわべだけの優しさだ。 細められた瞳の奥にある底冷えするような光を、りーだーはよく知っている。 結局、りーだーたちが召集された理由も、咎ゆっくりがここにいる理由も、何もはっきりしていない。 本題は、ここからはじまるのだろう。 「ということだから、まりさ。りっぱなゆっくりにしてあげてね」 「ゆっ。ゆっくりりかいしたんだぜ」 ほら来た。唐突にこちらを振り向き告げたえーりんの笑顔に、りーだーはもう驚かなかった。 散々待たされ、脅かされて、既にりーだーまりさの腹は据わっていた。 もう、この場に呼ばれたときの幻想も、容赦のない制裁を見せ付けられたときの恐怖もない。 どうにもならないことなら、告げられるままに受け入れるまでだ――少なくとも、 今この瞬間はそう思っている。 「……それで、まりさたちへのごようはなんなのぜ?」 「……あなたはほかのことちがってりかいがはやくてたすかるわ」 罪ゆっくりをぐるーぷに加えるだけですむはずがない。 そこまで感付いたあたり、りーだーの餡子脳は他のゆっくりより多少優れていたかもしれない。 とはいえ、それは所詮『多少』のこと。次に告げられた命令の内容は、 腹を据えたはずのりーだーの覚悟を軽く突き崩すものだった。 「こんど、よそからきたむれとのいくさがあるの。そのいくさのせんぽうをつとめなさい。このこたちを、あなたたちのぐるーぷにくわえてね」 「…………ゆっ?」 頭をがつんとこいしさんで殴られたような衝撃を受け、りーだーはぽかんとえーりんを見返した。 同じように集められた他のりーだーの内の何匹かも、同じような顔をして呆けていた。 それに気付いて、りーだーまりさは自分以外にも自我を持つりーだーがいたのだ、と薄ぼんやりとした思考の内に初めて知った。 もちろん、その新たな発見は、彼女達がえーりんに命じられた内容を理解する助けにはならなかったのだけど。 そう、それは戦った事などない働きゆっくりたちに、 他の群れとの戦の先陣を勤めろとの無理無茶無謀を極めた理不尽な命令。 無駄に死ねと告げているのと、まったく何も変わらない命令。 えーりんは、無駄に言葉を繰り返さない。ただ、自失するりーだーたちの様子がおかしいとでもいうように、穏やかな微笑みを湛えているだけだ。 りーだーまりさはただその笑顔を愕然とした表情で見返し、ただただ絶句するしかなかった。
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『ワンス・アポンナ・タイム・イン・ニジウラシティ(中編) 』 30KB 観察 戦闘 野良ゆ 都会 D.O コンポストまりさ秘話 『ワンス・アポンナ・タイム・イン・ニジウラシティ(中編)』 D.O さらに数カ月が経った。 あの3匹は、まりさの想いが天に通じたのか、全員無事に立派なおとなに成長していた。 「おとーさん!そのおちびちゃんはあとでもだいじょうぶよ!このちぇんのほうが、じゅうしょうだわ!」 「わ、わかったのぜ!ちぇん、傷口を見せるのぜ!」 「わ、わぎゃらないよぉぉ・・・」 「今お薬を塗ってやるのぜ。しみるけど我慢なのぜ。」 ビルとビルの間の細い隙間に並べられた数個の木箱、あのまりさファミリーのおうちの周囲には、 今日も野良ゆっくりの行列ができていた。 そのゆっくり達の用がある先は、まりさ・・・ではなく、 まりさ達のおうちに併設された、『えーりんしんりょうじょ』である。 えーりんが常駐する『しんりょうじょ』には、 今日も怪我したり、病気にかかったゆっくり達が次々に押し寄せていた。 「ゆっぴゃぁああん!ありしゅのぺにぺにしゃんがぁぁああ!」 「ゆぅぇ。完全にちぎれちゃってるのぜぇ・・・」 「ふむふむ。まだだいじょうぶよ。えーりんにまかせて。」 「えーりんせんしぇー、ゆっくちありがちょー。」 大きく成長したえーりんは、今やまりさファミリーの枠を越え、 このあたりに住む野良ゆっくり達にとって、いなくてはならない存在になっていた。 それは、えーりん種が生まれつき備えている特殊技能、医療技術のためである。 「えーりんせんしぇー!」 「えーりんせんせー!」 「えーりん!えーりん!」 少ない謝礼で多くのゆっくりの命を救うえーりん。 その存在感は、少なくとも表社会においてはまりさより遥かに大きい。 この『しんりょうじょ』の中においては、まりさもえーりん先生の助手にすぎないのであった。 「ふぇぇ。今日も大忙しなのぜぇ。」 「うふふ。おとーさん、おつかれさま。」 「それにしてもこのお薬、大したモンなのぜ。」 「ふふ。のみたいときは、いつでもいってね。できたてのをよういするから。」 「ゆへぇ。効くのはわかってるけど、あんまりお世話になりたくはないのぜ。」 『えーりんの薬』 その主成分はアロエペーストである。 それは、ゆっくりに対してほぼ万能の薬でもあった。 ゆっくりの病気と言えば人間に比べて種類は少なく、下痢や便秘、風邪、カビ、あとは飢餓くらいだ。 食糧不足が原因の飢餓ばかりは、えーりんにもどうしようもない。 しかし、あとのほとんどに、えーりんのアロエ薬は効果がある。 飲み薬として服用すれば、風邪やお通じの病気はすぐ治るし、 塗り薬として使えば、アロエはカビにも効果を発揮する。 ゆっくり最悪の伝染病であるゆかび病(要するにカビ)は、 体の表面どころか体内の餡子にまでカビが広がり死に至る、致死率100%の恐ろしい病だが、 えーりんの薬は、ゆっくり世界において唯一、このゆかび病まで完治させることが出来る薬なのである。 もちろん、抗菌・抗炎症効果もあるので、ちょっとした外傷ならば、 えーりんの餡子を塗って葉っぱなどで包帯をしておけば治ってしまう。 『えーりんしんりょうじょ』が、繁盛するのも当然であった。 ・・・ちなみにこの薬、えーりんのうんうんである。 正確には、えーりんの体内にある餡子、それ全てが薬なのだが、 そんなことはまりさ他、野良ゆっくり達の知るところではない。 えーりん自身が『うんうん=薬』という以上、それは真実なのであった。 ただ、自分のうんうんが怪我ゆっくり達に塗られるたびに、 病気ゆっくり達が、自分のうんうんをむしゃむしゃと食べるたびに、 頬を紅潮させて満足そうな表情をするえーりんに、まりさは多少不安をおぼえていたのだったが・・・ 「まあ、まりさのおちびちゃんだし、まりさそっくりのいい子だから問題ないのぜ!・・・たぶん。」 「うふふ。うふふふふ・・・」 「(ま、まりさは、そっち方面は苦手なのぜ・・・)」 えーりんは、姉妹の中ではまりさに一番似ていた。性的趣向以外。 それにしても、えーりん診療所は実際問題として、利用価値の高い存在であった。 なにせ『まりさファミリー』は文字通りの家族経営なわけで、現在のところ10匹にも満たない。 少数精鋭と言えば聞こえはいいものの、周囲のファミリーと正面衝突など、リスクが高すぎた。 しかしえーりん診療所のような日のあたる商売をしていれば、ゲス達も容易に近づけはしないわけである。 なんだかんだ言っても、街野良の大多数はゲスとは無縁な一般ゆっくりなので、 ゲス達としても、事を荒立てて面白いことは何もない。 こうして、このえーりん診療所の影響範囲自体がそのまま、 『まりさファミリー』のナワバリになるのであった。 で、そのナワバリをうまく利用して商売をしているのが、えーりんと同じくまりさに育てられた、 あのぱちゅりーである。 「むきゅん!みんな、ぱちぇの『かじの』でむっきゅりたのしんでいってね!」 「ゆぅぅぅうう!きょうこそは、いままでのまけを、とりもどすわぁああ!」 「うっさっさぁ。きょうはてゐに、どんなごはんをくれるうさ?」 「とかいはなありすが、まけっぱなしなはずないでしょぉおお!てゐ!かくごしなさい!」 えーりん診療所からさらにビルの隙間を奥に入ったところにある、小さな広場。 そこに積み上げられた木箱やベニヤ板の下に広がる空間では、数十匹の野良ゆっくり達が、 所狭しと集まって賭博に熱中していた。 『ぱちゅりーカジノ』は今日も満員御礼のようである。 まあ、賭博といっても野良ゆっくりのやることである。 そんなに難しいルールのものは扱えない。 ここで行われているゲームは、ぱちゅりーが自分で考案した変則チンチロであった。 2匹のゆっくりが、地面に埋められたお茶碗や汁椀を挟んで座り、 そのお椀に向かって一匹づつ交互にサイコロを放り込むのである。 サイコロは動物の骨などを削って作ったぱちゅりーのお手製。 その6面には1~3の数字が2面づつ描かれており、 せいぜい3までしか数えられないゆっくりでも大小の判別は可能なように作られていた。 あとは一回づつ振って、数字の大きい方が勝ち、というわかりやすいゲームである。 参加条件は、場所代としてぱちゅりーに食料を少々。 賭けるのもまた、貴重な食料が中心であった。 「さいころさん!とかいはな3をだしてね!むほぉっ!」 カランカランッ・・・ 「2・・・2ね。あまりとかいはじゃないわ・・・」 「じゃあ、つぎはてゐがいくうさ~。」 カランカランッ・・・ 「3うさぁ。」 「うびゃぁぁぁああああ!!ありす、ま、また、まげぢゃっだぁぁあああああ!!」 「じゃあ、このおべんとうさんはいただきうさね~。」 「ゆひぃ、ゆぁぁぁ・・・おぢびぢゃん、ごべんなざいぃぃぃ・・・」 客層の中心は、狩りの成果である貴重な食料を賭けごとに使えるような、中流ゆっくり以上・・・ ではなく、その日の食いぶちにすら困る下流ゆっくり達だったりする。 そういうゆっくりに限って一発逆転を狙い、プロのギャンブラー達のカモにされるのであった。 弱者は、最後の一滴まで搾り尽くされる運命にあるのだ。 ・・・だが、この時はぱちゅりーが動いた。 「むきゅぅ。てゐ、ちょっといいかしら。」 「う、うさ?」 「むきゅ。ちょっとそのさいころさん、みせてもらえる?」 「うさ!?」 うろたえるてゐを横目に、ぱちゅりーは先ほどてゐが放ったサイコロを舌でつまみあげ、 ジロジロと突き刺すような視線でサイコロの6面を確認し、はっきりと言った。 「てゐ。さいころさんを、すりかえたわね。」 「う、うさぁあ?」 その言葉に一番激しい反応を示したのは、先ほど廃棄弁当を奪い取られた駄ありすだった。 「い、いい、いなかものぉぉおおお!!てゐ!どういうことぉぉおおお!?」 「し、しらないうさぁぁああ!」 「むきゅぅ。ありすも、このさいころさんをみなさい。」 ぱちゅりーは今にも暴れ始めそうなありすを制し、サイコロをありすの目の前に差し出した。 「・・・・・・?なにかしら?」 「むきゅぅ。ありすにはわからない?このさいころさん、ぜんぶのめんが『3』なのよ。」 「むほっ!?」 それが、てゐがぱちゅりーサイコロに似せて作ったイカサマサイコロの正体だった。 6面全てが3のサイコロなら、このチンチロのルールにおいて敗北は絶対に無い。 あとは、自分の番が来るたびにそのサイコロと、ぱちゅりーサイコロをすり替えればいいのである。 サイコロの仕組みを完璧に理解する、ぱちゅりーだからこそ気づけた巧妙なイカサマであった。 「う、うさ・・・し、しらないうさぁっ!」 「むきゅー。ぱちぇの『かじの』でいかさまをするなんて、ゆるすわけにはいかないわね。」 「うさぁぁああ!てゐは、にげきってみせるうさぁぁああ!!」 ぴょんぴょんぴょんぴょんっ!! ぱちゅりーから逃げきろうと全力で走るてゐ。 だが、ぱちゅりーは大して慌てた様子も無く、先ほどのイカサマサイコロを口にふくむ。 そして、 ごふっ!! しゅんっ・・・めりっ! 「うさぁぁああああ!!」 どさっ。 咳と同時にぱちゅりーの口から飛び出したサイコロは、数メートル先のてゐのあにゃるを、正確に貫いた。 「むきゅう。いかさまは、ぺなるてぃーをしはらってもらうわね。」 「うさ・・・ごべんうさぁ・・・」 「むきゅきゅ。あやまらなくていいわ。きっちりとりたてるだけだから。」 「うさぁぁぁ・・・」 ぱちゅりーは、このカジノ(というか賭場と呼ぶ方がしっくりくるが) を運営するために必要な、2つの力を手に入れていた。 まりさ、には及ばないまでも、野良としては良く働く知力と、 そしてイカサマゆっくりを制裁出来るだけの暴力である。 『狙撃』・・・それは、体力に劣るぱちゅりー種としてのハンデを補うために習得した苦肉の策であった。 それを可能にしたのはたゆまぬ鍛錬と、幼い頃に重い喘息を患ったことで、呼吸の扱いに十分慣れていたため。 ただ、この特技を使いすぎたため、将来さらに喘息を悪化させてしまうのだが、それは先の話である。 「うさぁ・・・たすけてうさ。」 「むきゅん。とりあえず、てゐがもってきたごはんは、ぜんぶぼっしゅうね。」 「うさ・・・」 「むきゅぅーん、でもぜんぜんたりないし・・・おちびちゃんはいるかしら?」 「う、うさ?」 「てゐのおうちと、ほぞんしょくと、おちびちゃんと・・・ あと、ていのあんこさんもいただくわね。はんぶんくらい。」 「う、うう、うさぁぁあああああ!?」 「むきゅきゅきゅきゅ・・・。」 賭場を運営するということは、場所代だけでなく、負け分やイカサマのペナルティー等を、 支払い能力の劣るゆっくり達からも確実にとりたてる能力が必要なのであった。 さて。 実のところぱちゅりーを含め、まりさファミリーの中で生ゴミを主食にするような者はいない。 セレブ(笑)なまりさ達は、新鮮でみずみずしいご飯しか受け付けないのだ。 なので賭場にやってくるようなゆっくりが支払う食料というのは、まりさ達の口に入る事は無い。 では、先ほどてゐから取り立てたような生ゴミ・保存食の雑草等・赤ゆや餡子はどうなるかだが・・・ 「さあ、きょうもまりさ市場の時間なのぜ! こまちもてんこも、れみりゃもゆゆこも、みんなたっくさん取引してくれなのぜ!」 ここでついに、まりさとふらんの出番となる。 『まりさ市場』・・・まりさファミリーが様々な取引で集めた品物を、 まりさ達が欲しい品物と物々交換するための取引所であった。 「うあー!おはなさんもってきたー!あまあま3こちょうだーい!」 「れみりゃのお花さんは、いつも美味しそうなのぜ!じゃあ、このてゐのおちびちゃん達を持っていくのぜ!」 「「「ゆっぴゃぁぁああん!れみりゃはゆっくちできにゃいうさぁぁああ!!」」」 「うー!」 取引相手は、まりさの用意する品々の内容から、捕食種も多い。 そもそもまりさが欲しいものは、新鮮な草花や虫、おうち用の建材等なので、 空が飛べたりして行動半径の広い捕食種達こそが上客なのである。 一方、れみりゃ達からしても、自分達の姿が見えるや隠れてしまうゆっくりより、 河川敷や公園に生えてる野草の方が集めやすいに決まっていた。 「こー、こぼねー。」 「ゆわー、角砂糖さんなのぜー!今さっき取れたばかりの、てゐの餡子と交換でいいのぜ?」 「こぼねー!」 「ゆゆこも、これからもよろしくなのぜ!」 仲介はふらん。まりさが襲われたり、脅される心配は無い。 こうして対等の関係で話してみると、捕食種達は案外性格が単純で付き合いやすい。 向こうも、まりさだけは特別な相手だという認識になってきたようで、 最近では街中で出会っても、笑顔で挨拶してくれるようになっていた。 そして、捕食種達では無い、もう一つの主要な客層もいた。 「ま、まりさぁ・・・」 「ゆぇ?何なのぜ。汚いれいむなのぜ。」 「た、たんぽぽさん・・・ごはんとこうかんしてくだざい・・・たくさんでいいよぉ。」 「ゆっくち・・・むーちゃむーちゃ、しちゃいよ・・・」 それが、わずかな草花等を持って現れる、極貧ゆっくり達(つまり平均的な野良)である。 「ゆぅー、ちょっと枯れちゃってるけど・・・ほら、これと交換なのぜ。」 「ゆ、ゆわぁぁ!こんなにたくさんでいいの!」 「別にいいのぜ。気が変わらないうちに持っていくのぜ。」 「おちびちゃぁぁあん!きょうはごちそうだよぉおお!」 「ゆわーい!まりしゃおねーしゃん、ありがちょー!」 で、少量の草花や虫等を、多量の生ゴミと交換するのだ。 生ゴミは生ゴミで、欲しがるゆっくりはたくさんいるのである。 まりさ達のように、贅沢を言っている野良などほとんどいないのだから。 ちなみに、 「わかるよー。おちびちゃんとごはんを、こうかんしてねー。」 「「「わきゃらにゃいよぉぉぉ!?おきゃーしゃん、すてにゃいでぇぇ!」」」 「えーと、2、3、4・・・じゃあ、これだけ持っていっていいのぜ。」 「わかるよー!」 「「「ゆんやぁぁぁああ!!」」」 自分のおちびちゃんを生ゴミと交換しに来るゆっくりも割と多かった。 もちろん大っぴらにやれる事ではなかったが。 こうしてまりさは、えーりんの親としての名声を隠れ蓑に、 裏の商売を通じて自分の存在感を伸ばし、『まりさファミリー』無しでは、 周辺地域のゆっくりの生活が成り立たないように、環境を少しづつ整備していったのである。 やってることの悪質さを考えれば意外かもしれないが、 まりさはゲス善良・捕食種希少種問わず、野良ゆっくり達全体から敬意を集め始めていた。 ---------------------------------------------- 「みょほほほほ。やってるみょんねぇ。」 だが、そんなまりさファミリーとて、何でも好き勝手やれるわけでは無かった。 ナワバリの外は他のファミリーがいるので当然だが、たとえナワバリの内側であったとしてもである。 「だ、団長さんなのぜ!?こ、こんな所まで来るなんて、何かあったのぜ?」 「みょほほ・・・みょんが来たら、迷惑みょん?」 「そ、そんなことありませんのぜぇぇ!」 その障壁の代表となるのが、この団長みょんを筆頭とする『みょん自警団』、通称みょん警であった。 団長みょんは、数匹の手下みょん達を引き連れ、まりさファミリーのおうちの奥へと、 我が家かのようにズカズカ侵入していった。 まりさは、それを止める事も出来ない。 「みょふ~ん・・・ふむふむ、まりさは悪い事してないみょんかねぇ?」 「め、めっそうも無いですのぜ!」 「みょふふふ。」 団長みょんは、見た目だけならばダブダブに肥えた3段腹の上に、 ニタニタと気色の悪い笑顔を貼りつけた、目を疑いたくなるような不愉快極まるみょんである。 まりさと団長みょん、どちらを群れの長にしたいかと聞かれれば、満場一致でまりさだろう。 だが、団長みょんはその風貌からすれば意外な事だが、文武両道のチートスペックゆっくりなのである。 さすがに捕食種のふらんを圧倒した、『あのれいむ』ほどではないのだが、 まりさ程度のゆっくりなら武器を持って3匹掛かりで襲いかかっても、まず相手にならない。 そして、それ以上に重要なのは、団長みょんが『みょん警』の団長であるという事実であった。 『みょん警』ことみょん自警団は、 町内ゆっくり達の提案によって組織された、野良社会に置ける警察組織だ。 訓練されたみょん達によって構成され、主にゲスやレイパーの取り締まりと排除を目的としている。 野良社会にも存在する『おきて』に従って社会の秩序を守る存在であり、 一般野良にとっては頼れる存在であった。 ある意味では『みょん警』と『ゲスマフィア』は近い役割を持っていると言っていい。 ただ、みょん種が一般的に融通が利かない性格なのと、彼女達は彼女達で生活があること、 それに、所詮ゆっくりである以上、捜査などは苦手で現行犯逮捕が中心になるため、 どうしても『みょん警』の活動には限界があった。 そこら辺の融通がききやすいのは、なんと言っても『ゲスマフィア』の方なのだが、 こちらはこちらで、動いてもらうと法外な謝礼を要求されるし、その制裁方法がまた尋常な残酷さではない。 取り締まってほしい相手をミンチ饅頭にしたいのでなければ、余りお近づきにはなりたくない相手である。 結果どちらも一長一短というわけで、上手く社会を動かしていくには両方必要というわけであった。 「みょほほほほ。こっちの檻にいるおちびちゃん達は、一体何みょんかねぇ。」 「「「みょんおにぇーしゃん!たしゅけちぇぇぇえええ!!」」」 「ゆ、ゆへぇ!?」 そして団長みょんは、『まりさ市場』の裏に隠してある、販売用赤ゆっくりの檻を見つけ、 まりさに向かってより一層気色悪い笑顔を向ける。 一応まりさも隠しているはずなのだが、この辺はさすが団長であった。 「ゆへぇ!そ、そんなものより団長!このあまあまをどうぞなのぜ!」 「みょほぉ。ふむぅ。・・・なるほど、このおちびちゃん達は、まりさが世話してあげてるみょんね。」 「そ、そう言うことですのぜ!!」 「ちがうよぉぉおお!れいみゅたち、れみりゃにたべられちゃうよぉぉぉおお!」 「ゆふふ、このおちびちゃんは、誤解してるだけなのぜぇ。」 「みょほぉ。そう言うことにしといてやるみょん。じゃあ、また来るみょん。」 「で、ではまたお会いしましょうなのぜ~(二度と来るななのぜぇ。)」 まあ、当然ながら、まりさのやっている事は『おきて』云々以前の酷い内容なので、 団長みょんをはじめとする『みょん警』の幹部達にワイロを贈って、お目こぼししてもらっていたのであった。 叩けばホコリが出まくるまりさの、つらいところである。 先ほど『みょん警』と『ゲスマフィア』の役割は似ていると言ったが、 その立場は『みょん警』の方がはるかに上であるのが実態なのである。 なんと言っても『みょん警』は、野良公式の、正義の味方なのだ。 みょん警の敵に認定されれば、野良社会全体が敵になると言っていい。 野良全体からみれば、ゲスなどほんの一部に過ぎない。 みょん警の圧倒的な権力の背景には、 必要に応じて一般の野良ゆっくり達(捕食種は除く)全体からサポートが得られるという事実があった。 それに、まりさの商売も客商売である。 安全な場所、公正な賭けの取り締まり、納得できる取引内容だからこそ、客が集まる。 みょん警の敵になどなってしまったら、商売あがったりだった。 まりさとしては、みょん警はぜひとも味方にしておきたい存在であった。 と、その時、帰りかけていた団長みょんが立ち止まり、 後ろで舌を出してあっかんべーしていたまりさの方を振り向くと、 そのしぐさを気にした様子も無く話しかけた。 「ああ、そうそう、まりさ。」 「は、ひ、ひゃい、なのぜ!?」 「ウチで預かってるまりさのおちびちゃんのことだけど・・・」 「ゆ?」 「あれじゃ、入団は難しいみょん。ま、あんまり期待しない方がいいみょんね。みょほほほほ・・・」 「そ、そうなのぜ・・・まあ、よろしくお願いしますのぜぇ。」 その言葉を聞き、まりさの表情は一層曇ったのだった。 ---------------------------------------------- まりさに育てられ大きく成長した、あの唇を削り取られたみょんは、 今『みょん警』に仮所属している。 みょんは現在見習い団員として、みょん警に数十存在する支部の内の一つで訓練に参加しているが、 その様子はあまり上手くいっている風では無かった。 「みょっ!みょっ!」 ひゅん!ひゅん! 「ちがうみょぉおおん!そんなけんのふりかたじゃ、おちびちゃんもたおせやしないみょん!」 「みょぅぅ・・・」 剣術の訓練中、先輩みょんからの罵声を浴びるみょん。 だが、それで上達するものならば、この数週間の間にもう少し身についてよいはずだった。 みょんは、まりさに恥をかかすまいと、訓練に誰より熱心に取り組んでいるのだから。 「みょっ!みょっ!」 ひゅん!ひゅん! 「ちがうみょん!こうだみょん!」 ぶんっ!ぶんっ! 「みょぅ・・・」 「・・・やっぱり、そのおくちじゃけんはもてないみょん。あきらめるみょん。」 「・・・・・・。」 みょんがぶつかっている大きな壁は、皮肉にもまりさに拾われた時に削り落された、 唇と前歯によるハンデだった。 みょん種の特技といってよい『剣術』。 それは、口に木の枝などの細い棒をくわえ、敵を殴り、叩き潰し、突き刺すものだ。 だから、棒を素早くくわえなおせるほど、精妙な剣技を扱えることになるし、 棒をしっかりと歯と唇と舌で固定できるほど、威力のある攻撃になる。 当然体格なども重要な要素ではあるのだが、一番重要なのはなんと言っても口である。 みょんは唇を失い、前歯も先端を3割方削り落されている。 だから今は棒に舌を巻きつけて固定しているのだが、 これだと鞭のように振りまわすのには便利でも、威力はまるで期待できなかった。 相手を引っ叩くのがやっとでは、屈強なゲスに返り討ちにされてしまうだろう。 そして剣術は、みょん警に所属するための基本技術だった。 みょんは結局、、入団試験に引っかかることすらできず、まりさの元へ帰されてしまったのであった。 「ごめんみょん・・・」 「ゆぅ?まあ、ムリなもんはしょうがないのぜ。その傷はみょんのせいじゃないのぜ。」 「うー。おとーさんのせい?」 「ふ、ふらん!?違うのぜ!人間さんのせいなのぜぇ! ・・・とにかく、また他の事で役に立ってくれればいいのぜ。」 みょんにとってせめてもの救いは、まりさが全くみょんの失態を気にしていなかったことであったか。 それはそれで傷つく者もいるだろうが、まりさの言葉を字面通りとれば、 次のチャンスをやるから、挽回してみろ、とも取れなくは無い。 みょんは、自分に一体何が出来るか、もう一度考え直すことにしたのであった。 「・・・みょーん。」 そして、うなだれるみょんを見ているまりさの方はと言えば、 「(まあ、いざって時に盾にでもなってくれれば十分なのぜ・・・)」 などと、今でも大変失礼な事を考えていた。 だいたい、拾った時点でもそれほど多くの期待をしていたわけではないのだ。 ぱちゅりーもえーりんも、まりさの期待を大きく越えて才能を示してくれたわけだが、 拾った当初の目的と言えば、まりさがれいむと戦った時のように、 危険にさらされた時にまりさを置いて、さっさと逃げたりしないような仲間を集める事だったのである。 子供たちの方が、まりさから送信された愛情を過剰に受信し、 勝手に努力をしてくれているのだから、わざわざ止める理由もなかったが。 ---------------------------------------------- そしてその頃、みょんがみょん警に入れなかった事とは関係なく、 まりさファミリーが飛躍するための、最後のピースは揃おうとしていた。 「ま、まりしゃをはなしちぇにぇ!まりしゃをおこらしぇると、こうかいしゅるよ!」 「こいつなのぜ?まりさ達のおうちに勝手に入り込んだおちびちゃん、ってのは。」 「ま、まりしゃがどこにいても、まりしゃのかってだよ!はなしちぇにぇ!」 そのうち一匹は、この生意気な子まりさである。 ふらんがおうちの掃除をしていた時に、たまたま食料貯蔵庫の中で発見したおちびちゃんであった。 「勝手も何も、ここはまりさ達のおうちなのぜぇ。怪しいヤツなのぜ。・・・殺すのぜ?」 「ゆ、ゆぴぃぃいいい!ま、まりしゃをころしたりしちゃら、こうかいしゅるよぉぉおお!?」 「「「ゆぅ?」」」 騒ぎの様子を聞きつけたのか、ふらんやえーりんもまりさの尋問部屋に入ってきた。 「お前、一体何者なのぜ?」 「ゆっふっふ、きいておどろいてにぇ!」 「いいからさっさと話すのぜ。」 子まりさは、多くのゆっくり達に注目されている事に満足したらしく、 胸をぐいっと張って、おうち宣言でもするかのように大声でこう言った。 「まりしゃは、てんっさいなんだよ!いまはおやだっていないこどもでも、 いつか、だれにもまけにゃい『びっぐな』むれをつくりゅんだよ! ゆっくちりかいしたりゃ、みんなまりしゃにひれふしちぇにぇ!」 ・・・・・・。 「・・・殺すのぜ?」 「ゆぴぃぃいいいい!?やめちぇにぇ!ゆっくちさせちぇにぇ!」 子まりさは、正真正銘の、単なる孤児ゆっくりだった・・・。 まりさは子まりさに嫌われてしまったので、えーりんが代わりに尋問する。 「それで、わたしたちのおうちで、いったいなにをしてたの?」 「ま、まりしゃはびっぐなむれをつくりゅんだよ!」 「ええ、それはきいたけど。」 「ま、まりしゃがみたなかでは、このふぁみりーがいちばんいいかんじだかりゃ」 「ふむふむ。」 「まりしゃのやぼうのために、『こつ』をぬすもうとおもっちぇ・・・」 「ほうほう。」 「ゆ、ゆぇぇ、たすけちぇぇ。」 「で、おちびちゃんのおかあさんたちは?」 「え、えいえんに、ゆっくちしちゃよ・・・まりしゃがちいしゃいときに・・・。」 要するに、自分も将来大きな群れを作って長になりたい、 そこでまりさファミリーが仲良くまとまってる姿を見つけたので、 秘訣を探りに来た、と言うことらしい。 今より幼い頃に親を失ってから、今まで生き延びている事といい、子ゆっくりにしては大したものであった。 「偉いのぜ!!」 「ゆぴっ!?」 その話を聞いていて、突然まりさが大声を出した。 「偉いのぜ!おちびちゃん!!」 「ゆ、ゆぇ?」 「まりさの偉大さを理解できるなんて、 おちびちゃんは、まりさと同じく、選ばれたゆっくりに違いないのぜぇっ!!」 「しょ、しょうだよ!まりしゃはえらばれたゆっくちにゃんだよ!」 「まりさのところに置いてあげるのぜ!ふらんが世話をしてやるのぜ!」 「うー?・・・いいの?」 「まりさに二言は無いのぜ!!」 こうして、他のゆっくり達が(子まりさも含め)良くわからないうちに、 子まりさはまりさファミリーで初の、そしてこの後を含めて唯一の、 『子ゆっくり以上に成長してから加入した』メンバーとなったのであった。 あまりにも軽々しい行動であったが、まりさは嬉しかったのである。 これまでのまりさのゆん生で、まりさの行動を面と向かって、肯定的に評価してくれたのは、 家族を除けば、この子まりさが唯一だったのであったから。 「ゆ、ゆっひぇっひぇ・・・こんなことしちぇ、 まりしゃにこのふぁみりーの、おさのざをうばわれちぇも、しらにゃいよ!」 「・・・調子に乗るななのぜぇ。」 「ゆんやぁぁあ!?ごめんにゃしゃいぃぃ!」 多少生意気で口が回り過ぎるところはあったが、これまでひとりで生きてきたくらいだから、 そこそこ能力の方も期待できた。 だが、その能力に対する期待をよそに、この後子まりさが大いに役立ったのは、 この生意気で、口が良く回る欠点の方だったのである。 そして、まりさファミリー飛躍のもう一つのピースは、毎夜えーりん診療所を訪問するゆっくりだった。 「みょぉぉおん!え、えーりんのうんうん、とってもおいしいみょぉぉおおん!しあわせぇぇええ!」 「ほーら、おくちをおっきくあけなさい。できたてほやほやよ。」 「みょふぅ、みょふぅううう!か、かおにもかけてみょん!ぶっかけてみょぉぉおおん!」 「ほらほら。がつがつしないで。うふふ。」 この、『えーりんの薬』をえーりんのあにゃるから直にむさぼり食って恍惚の表情を浮かべているのは、 みょん警に数十ある支部の一つを指揮する、支部長みょん。 しかもまだまりさと同年代の、若きエリートである。 まりさファミリーの『あの』みょんの真逆を行く、みょん警の大物だった。 「ほぉら。あにゃるもきれいにしてちょうだい。」 「ぺーろぺーろ・・・ゆぷぅ、え、えーりんのあにゃる、おいしいみょぉん。」 「うふふ。つかれてるから、おくすりがひつようなのよ。」 「そ、そうだみょぉん。みょんは、えーりんのおくすりをのんで、あしたもがんばるみょぉぉん・・・」 えーりんの薬の正体を知るゆっくりは少ない。 支部長みょんがその正体を知ったのは、たまたまおうちの中を覗いてしまっただけ、単なる偶然だった。 そしてそれ以来、支部長みょんはえーりんの元に通い詰めている。 支部長みょん自身は、疲労を含めて万病に効く『えーりんの薬』が、 激務に就く自分には必要である、と言っている。 だが、常識的に考えて、正体がうんうんだとわかっている代物を、嬉々として食べているのは普通では無い。 それに、支部長みょんが薬の実態を知った時覗いた場所も、まりさファミリーのおうちの一番奥にあるおトイレ。 しかも普通のゆっくりならば出歩かないはずの、真夜中にこっそりとである。 はっきり言うと支部長みょんは、色々と変態的な性的趣向の持ち主なのであった。 ただし、有能で周囲の信頼も厚く、さらにえーりんに対しては、 変態的な趣味を除いても、好意を持っているゆっくりでもあった。 「みょーん。えーりん、みょんのおよめさんに・・・」 「うふふ、かんがえておくわね。」 「みょふぅ・・・。しんじてるみょん・・・。」 そして、それを知り、利用しようと考えているゆっくりが一匹。 「ゆふふ。あれは色々役に立ちそうなのぜぇ。」 もちろん、まりさであった。 ---------------------------------------------- まりさファミリーが着々と成長を続けている中、みょんは悩んでいた。 みょん種として生まれていながら、まともに剣を扱えないと言うだけでも、 アイデンティティの半分は失われている。 おまけに姉妹達は揃って優秀で、しかも自分が演じるべきだった場所には、 えーりんにぞっこんの変態エリート・支部長みょんがいる(当然表沙汰にはなっていないが)。 自分には、何が出来るのか・・・ みょんがその日、街中にある、とある寂しい空き地に向かったのは、必然だったのかもしれない。 ひゅんっ!しゅっ!ひゅんっ! 「みょん!?」 そこには、一匹のれいむがいた。 周囲には人間どころか、一匹のゆっくりもいない、廃材がいくらか転がっている、 それ以外には木が一本生えているだけの、小さな空き地に、ただ一匹で。 れいむは、一匹で黙々と、左右のもみあげで掴んだナイフを振り続けている。 そして、そのナイフが一閃するたびに、周囲に生えた草や舞い落ちる葉っぱが真っ二つに切断されていった。 「(す・・・すげぇみょん・・・)」 れいむのような剣術は、みょん警の先輩の誰も使っていなかった。 鋭さでも、しなやかさでも。そして何より、宙を舞う落ち葉を両断するような技は。 そう、このれいむは、かつてまりさに死を覚悟させた、あのれいむであった。 そして、みょんの視線はれいむの姿に釘づけになっていき、 しゅかんっ!! 「(みょ・・・!?)」 そしてれいむが、みょん警が剣として使っているような、細い木の棒を、 何気ない一振りで両断した光景を見た瞬間、みょんは、れいむの技の本当の恐ろしさに気づき、 雷に打たれたかのような衝撃を受けたのだった。 みょんは、いや、みょんだからこそ気づいたのだ。 まりさを含め、れいむと戦った多くのゆっくり達が、全く気付かなかった、れいむの強さの秘密を。 「あのれいむ・・・すごいみょん・・・」 そもそも、本来ありえない話なのだ。 れいむ種のもみあげ、まりさ種のお下げなどは、人間の腕のように動かせる事は知られているが、 それは『動かせる』というだけで、決して大きな力が出せるわけではない。 れいむ種がもみあげで棒を操ったとしても、本来は威力不足で、 敵のゆっくりを殺傷させる事はできないはずだ。 だから、普通のゆっくりは、『剣』と称する棒を口に咥えて操ろうとする。 唇と歯と舌で、棒をしっかり固定して、 そのまま全体重をかけて敵を叩き潰し、体当たりのように突きを放つために。 だが、れいむはあえて、もみあげで『剣』を操る。 それは、ゆっくりの剣術に本来存在しない技・・・『斬る』という技術を発見したからこそだった。 相手を切断できるなら、口で剣をガッチリ固定する必要は無い。 撫でるような一撃が、そのまま必殺の攻撃なのだから。 2本の剣を使える分もみあげの方が有利だし、力任せの大振りに頼る必要も無いから速度も上がる。 それに、口で咥えているよりもしなやかに、自由自在に技を繰り出せるだろう。 一対一でも圧倒的に強く、それに、多数の敵をひとりで相手することもできるに違いない。 そして、この技術こそが、自身にとって最も必要なものだと、 みょんは気づいたのであった。 みょんはこの日以来、雨の日以外は毎日空き地に向かった。 そして、れいむも同じく、毎日そこで技を磨いていた。 「ゆっ!ゆっ!」 ひゅんっ!ひゅんっ! 「みょっ!みょっ!」 びゅんっ!びゅんっ! みょんは近所のゴミ捨て場から拾ってきた金属の棒に舌を巻きつけ、 れいむの訓練する姿を物陰からこっそり眺めつつ、必死で技を盗もうとした。 敵を鮮やかに切り裂く、その技を盗むために。 れいむの剣にと似た輝きを持つ棒を使い、 れいむと同じ角度や速度で剣を振ろうと、 舌を鞭のように伸ばして振りまわし、必死に真似し続けた。 そして数週間後。 「どうして、きれないみょん・・・。」 やはり、みょんの剣技は、木の棒を両断するには至らなかった。 みょんの舌の動きは、日に日にれいむのもみあげに近づき、 今日こそはあの日のれいむのように、棒を切断することが出来るに違いないと思ったが、 みょんの目の前には、ポキリと折れた細い木の枝と、 同じくポキリと折れた金属の棒。 「どうしてみょん・・・もう、みょんにはこれしかないのにみょん・・・」 みょんは、くやしくて、諦めきれなくて、いつの間にか涙を流していた。 これまで、弱さを見せたくなくて、まりさの前でも流した事のない涙を。 「それじゃあ、切れないよ。」 「みょっ!?」 そのみょんの背後に、れいむが立っていた。 これまで数週間の間、みょんはれいむに見つからないように、遠くからこっそり眺めていたというのに。 もしょもしょ・・・ 「みょ!?・・・みょおん?」 れいむは、何気ないしぐさでみょんの涙に汚れた顔を、 普段はナイフを掴んでいるそのもみあげで拭ってくれた。 「『ゲボォッ』・・・これを使ってみるといいよ。」 そして、みょんの目の前で、喉の奥から長大な剣を吐き出した。 それは、刃渡り30cmほどにもなる、ステンレス製のケーキナイフだった。 みょんの舌にそのケーキナイフが握られた瞬間、みょんの体に、熱いモノが込み上げてきた。 それは、薄く、鋭く、確かな重みを持った、ホンモノの『剣』だった。 「剣が木の枝さんに触れたら、自分の手元に引っ張るようにするといいよ。」 「わ、わかったみょん!」 しゅっ!!すかんっ! みょんの放った一撃は、簡単に細い木の枝を両断した。 この時、みょんは初めて理解した。 自分が間違っていたのは、技術では無く、武器の選び方だけだったという事を。 れいむは、無表情のまま、みょんに語りかけ続ける。 「この剣は、ゆっくりを切るためのものだから、あまり固いものは切らない方がいいよ。」 「わ、わかりましたみょん!」 「それと、手入れの仕方も教えてあげるから、こっちに来てね。」 「みょ・・・みょ・・?!」 「聞かないの?」 「みょ、みょん!お、おねがいしますみょぉおん!!」 れいむが何を考え、急にみょんに色々教えてくれたのかはわからない。 ただ、れいむはこの時も一切無駄な話はせず、みょんに刃物の使い方と、剣の振り方をいくらか教え、 別れのあいさつもせずに去っていった。 そして、翌日以降れいむが、この空き地に来る事は無かった。 みょんは、ついに最強の武器を手にしたのであった。
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cry-me「さぁて、忠告分は読みましたか? 丁寧なターンは終わりました。ここからは言葉の暴力に吹き荒れる、作者と作者の戦線です。撃ち合っていきましょう!」 cry-meとはライトノベル作法研究所の利用者であり、投稿者、感想人である。 主に短編の間ではあるが、過去に長編の間に出没していた。 人物 長編作品は番外編!? 紆余曲折を得てその後 人物 予防線を張ることに長けた投稿者であり、感想人である。 そして自分より劣った作品に対しては容赦がなく、かなり強気な姿勢を見せている。 長編作品は番外編!? 事の発端は長編の間にて、先に本編の番外編?なるものを投稿したのが始まりであった。 番外編でしっかり一つの物語として完結しているのなら、なんら問題はないのだが、cry-meの作品は単品では読めず、ほとんど規約違反の連作となっているようだ。 (以下過去ログ参照) +過去ログ 233 :名無し物書き@推敲中?[sage]:2010/02/08(月) 07 22 51 ■この作品の著作権はcry-meさんにあります。無断転載は禁止です。 ■作者からのメッセージ 映画アバターを見て驚愕しました。設定が一部かぶってる!? と、言う事でお師匠に言われて科学考察がチープな箇所を修正していたのですが、 もはや、根本的に出遅れてしまったので自棄になって投稿しました。読んだら何かアドバイス下さい。あと、黒猫館の本編に関してはもう暫くお待ちください。 あとこの作品の設定は元々自作TRPGでやっていたもので、一部ゲームっぽい箇所や設定があります、お許しください。え、伏線回収? それってどんなスィーツ(笑)? ってか本編だけじゃ世界観説明し切れてねぇし…… 2010年01月16日(土)02時13分 cry-me wA0TCRG1WA 作者レス 135.204.0.110.ap.yournet.ne.jp ロイリーズ様、感想ありがとうございます。 雑学収集が趣味なのと、そういったネタに濃い友人に協力を仰いだので、知識ネタだけで簡易小説が出来てしまい、少し強引にねじ込んだ部分もありますが、問題無い様で安心しました。 この話だけではわかりません。 すみません。実はこれは番外編で、本編(主人公が事務所に所属するまでを綴った話)という物が存在するのですが、コレが非常に長く、未だに完成しておらず、先に番外編が出来てしまったという奇妙な話です。 次のお話はあるのかしら? 機会があれば書きたいとは思いますが、出来ればまず本編を完成させたいものです。 2010年01月21日(木)01時02分 cry-me wA0TCRG1WA 作者レス 135.204.0.110.ap.yournet.ne.jp イタムキ様、ご感想どうもありがとうございます。 本編はまだ執筆中とのことですが、ぜひそちらも読ませていただきたいものです。 いやはや、色々と資料を集めたりと下準備が必要でして、さらにこの番外編を超えようと思うなら、 作りこみがまだまだ掛かりそうでして、今しばらくお時間を必要としております。 だそうな……あうあうぁーですね 237 :名無し物書き@推敲中?[sage]:2010/02/08(月) 11 46 54 このスレだけ読んでると、いまいちわかりにくいが…… 黒猫館と超常現象「鬼退治」 143枚 cry-me 2010年01月10日(日)01時15分 番外編がどーの、本編がどーの、って言ってるのはこっちだな。 ただ、「説明不足でわからないところがある」って指摘に対して「実は〜」って 言い訳に出てきた奴だから、本気で本編なるものを意図してるのかびみょー。 輝光戦記:チェダーズ編 220枚 cry-me 2010年02月08日(月)04時01分 で、こっちが今日投稿されたばかりの奴で、タイトルに「チェダーズ編」ってあるのが疑惑のもと。 でも、この程度の奴は副題として見れば珍しくもないわけで、断定するにはやはりびみょー。 作者コメにある「本編だけじゃ世界観説明し切れてねぇし」ってのも、 脈絡なさすぎて何を意図してるのかまるでわからない。 多分、「元々自作TRPG」ってのを受けての「今回投稿した小説」って意味で、 やっぱり「説明不足があったらそれは元々自作TRPGが元ネタだからですよ」って 先に予防線を張ってるというのが妥当か? あるいは話が黒猫館の本編とかいうのに戻ってるのかも知れんし、やっぱよーわからん。 通報するレベルじゃないけど、これだけ読んでもわからないんだ、と思うには十分で、 積極的には読みたくなりはしないなぁ、って感じ。 239 :名無し物書き@推敲中?[sage]:2010/02/08(月) 12 15 14 238 本編と関係のない話だったら、番外編でもないと思う 今はスピンオフ・スピンアウトって言葉も使われるから細かく分類できるけど、 「背景設定だけ同じで登場人物も時間軸も関係ない話」なんてのは昔からあって、 「番外編」って呼ばれるのは普通だと思うけどなぁ。 厳密に言えば「外伝」とか「異聞」なんてのが相当するのかも知れんけど、 そんなのにこだわるのは辞書的な意味だけで、実状は伴っていないと思うよ。 240 :238[sage]:2010/02/08(月) 12 25 06 239 番外編というか、あれは単純に続編になると思うけど。 時間軸的にも本編の後のお話になるんだろうし。 241 :名無し物書き@推敲中?[sage]:2010/02/08(月) 12 27 53 余計に連載色強いじゃん。 紆余曲折を得てその後 まかりなりにも長編を書ける作者なのに、どういう訳か理由は定かではないが舞台は長編の間から短編の間へと移ってゆく。 そしてオチ板でも言われている“自分より劣っていると思われる作品”に彼は-感想を投稿するのであった。 (以下オチ板での簡単な評判である) +評判 78 :この名無しがすごい!:2012/03/09(金) 20 40 14.85 ID UdTtUbng cry-meが怖いんだけど 153 :この名無しがすごい!:2012/03/11(日) 23 59 54.52 ID pbkiFvCC 前スレで言ってる奴がいたけど、俺からも言わせてくれ cry-meの感想怖いんだけど…… ていうかさりげなく「削除してください」って言ってるのはなんなの? 154 :この名無しがすごい!:2012/03/12(月) 00 33 55.17 ID g7CYGOj/ 「作者に配慮しながら感想書くのは面倒だから、好き勝手に感想を書くけど その結果、作者に恨まれたり、ラ研でお尋ね者になるような事態は避けたい」ってことだと思う 批判するけど作者のため、気に食わなければ消してもいいって書いておけば周囲からの横槍を牽制できるからな 自分の感想に文責を持つ意志がないんだよ 嫌われたり、逆恨みくらうの覚悟の上で辛口批評に徹してた人知ってるから、 ああいう言い訳するやつは女々しく見える 158 :この名無しがすごい!:2012/03/12(月) 13 47 01.19 ID 4n3OwP9Y 153 酷評がおkな場所だしいいんじゃねぇの? 159 :この名無しがすごい!:2012/03/12(月) 14 23 14.13 ID 9RVpssmL 158 アイツはわざと面白くない作品を読んでいるのか、マイナスしか見たことがない 普通に酷評しているというより、cry-meの場合は予防線張りながらストレス解消しているようにしか見えないw HNもcry-meからclaimに変えるべきだろw 160 :この名無しがすごい!:2012/03/12(月) 14 54 14.58 ID ae7V3qpA cry-meに目をつけられないかドキドキ 2012年03月19日(月)13時29分 cry-me -30点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp さぁて、忠告分は読みましたか? 丁寧なターンは終わりました。ここからは言葉の暴力に吹き荒れる、作者と作者の戦線です。撃ち合っていきましょう! 作品全部は見てないんで、こいつの意見がどうなのかは知らんが。 俺としては、冒頭見て現代ものだと思うこいつの方がおかしいと思う。 368 :この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 20 05 31.58 ID Xvmt56Zi 365 cry-meさんはね、ラ研にストレス解消しに来ているだけなんだよ 自分より劣っていると思った作品を狙い撃ちして楽しんでるだけなんです、許してあげて下さい 366 cry-meさんはね酷評(笑)になんて興味無いんだよ あの人の場合クレーム付けてマイナス付けれれば気分がスカッとすんだと思うよ いわゆる点数荒らしね 2012年03月10日(土)15時54分 cry-me -20点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp 2012年03月19日(月)13時29分 cry-me -30点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp 2012年03月08日(木)04時21分 cry-me -20点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp 2012年03月08日(木)22時50分 cry-me -10点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp 2012年03月09日(金)20時34分 cry-me -20点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp 2012年03月11日(日)21時15分 cry-me -30点 62.234.5.61.ap.yournet.ne.jp
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※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1? ※注意事項 このお話は『ゆっくりをのぞむということ1』の続きです。 人間は介在しません。 登場するゆっくりは全滅しません。 ぼくのかんがえたさいきょうゆっくりが登場します。 全部で4か5ぐらいまでで終わるといいな。 数千を数えるゆっくりたちが、代々営々と築き上げてきた彼女たちの棲家たる地中の大洞穴。 ただの一匹がすべてのゆっくりを享受するため、残りの全てが日々黙々と働き続けるこの異様な世界で、 今ひとつのショーがクライマックスを迎えようとしていた。 「ウサウサ☆」 「びぶれっ!?」 どんっ、と勢い良く突き飛ばされて、もはやぼろくずと見まがうばかりの惨たらしい姿に 変わったまりさがごろごろと傾斜のついた洞穴の中を転がった。 無機質な笑顔を連ねてこの処刑ショーを見守る働きゆっくりの壁の中で、 りーだーまりさはまるで生きた心地がしていない。 餡子を吐いて逃げ惑う目の前のまりさの姿を、ごく近い未来の自分に重ね合わせずにはいられないのだ。 「ゲラゲラ!」 「あひゃい゛!!? ごっ、ごないでえぇっ!!」 悠然と跳ねて追い掛けてくるうどんげに気づき、まりさは哀れみを誘う悲鳴をあげると傷ついた体に 無理を押して二匹の処刑執行人から逃れようとする。 無論、満身創痍のまりさが健康そのもののてゐやうどんげを振り切れようはずがない。 ましてや周囲には兵や働きゆっくりで作られた壁がある。 救いを求める切迫した眼差しを、生に固執し救いの手を差し伸べぬ周囲へと無限の憎悪を投げかける 血走った瞳を、とっさに目を背けて忘れ去ろうと努めたりーだーまりさを含むゆっくりの壁がある。 そんな壁の中の一角に、脅えきった様子のゆっくりが兵ゆっくりに囲われているのは処刑の順番を待つ連中だろう。 「だっ、だず、だずげっ……え゛びぃっ!?」 果たして、この期に及んで何の動揺も見せない同胞からの救いの手を本当に待したのかはわからないが。 必死の思いで同胞の作る壁にすがり付いたまりさを迎えたのは、もちろん助けの手でなどあるはずがない。 相も変らず無機質な笑みがずらりと連なる壁からの答えは、 まりさを取り囲むように飛び出してきた兵ゆっくり達の手荒い歓迎だった。 「ぺにす!」 「ぺにす!」 「ちんぽ!」」 「やめっ、やめやべやべべぶべらっ!?」 右から、左から、前から、後ろから。 うっかり殺してしまわないようにと手加減された打撃も、 今のまりさにとっては逃走と抵抗の意思を根からへし折るには十分すぎる。 たちまち、新たな傷をあまた増やしてまりさはみょん達にまた輪の真ん中へと弾き飛ばされるのだ。 執行人たちが酷薄な笑いを浮かべて悠然とまりさの帰りを待つ、あの処刑場の真ん中へと。 この残酷な公開リンチを、りーだーまりさは一度は泳がせた視線を真正面に戻して再びじいっと直視していた。 口元に無理に浮かべた微笑は誰の目にも硬く、顔色は病的なまでに青褪めている。 なんとか自然を取り繕おうという彼女の意思に反して、その面差しは到底尋常の様子には見えない。 (なんで、まりさをわざわざよびつけて『これ』なんだぜ?) それが不幸なことか、幸福なことか、にわかには判別しがたいことだったが。 この時、りーだーまりさは一般のゆっくりがよくそうするように、思考を停止し、 全てを忘却の彼方に追いやることができなかった。 気が遠くなるような怯えを必死に堪え、りーだーまりさは餡子脳をフルに稼動して自問する。 幸い、考える時間だけは十分にあった。とりあえずわからないのは、 自分がこの場に呼びつけられた理由についてだ。 このショーがなんのために行われているのか。 それ自体についてならば、りーだーは当然の知識としてその理由を知っていた。 これは、この群れの掟を破った咎ゆっくりに対する制裁だ。 全てを女王のために捧げる真社会性ゆっくりの中にも、怠けるものは常に存在する。 その中の一部は、群れのために働くどころか自身の欲望を満たすためだけに行動するのだ。 それは例えば仕事の放棄であり、例えば貯蓄された食料の窃取であり、 例えば自分の子を欲しての子作りであり、例えば巣からの脱走であったりする。 今回のケースは盗難だ。 先ほど目を背けたときに、齧られた後のあるキノコが幾つも脇に置かれていたからそれは間違いないだろう。 だが、同時にりーだーまりさは、この制裁が本当に意味するところをもまたその本能の内に知っていた。 それは即ち、ひめさまに全ての『ゆっくり』を捧げるために決して犯してはならない最大の罪――、 すなわち、『自我を持つ』という重罪を犯したゆっくりの排除に他ならないのだ。 その罪は、生まれた瞬間に二匹の姉妹の命を奪い去り、いまやりーだーも等しく犯している重罪でもある。 では、自我を持つことがなぜ重罪なのか。 りーだーまりさは、その事も積み重ねた経験からうすうす感じ取っていた。 ゆっくりすることを望むゆっくりは、あまりに脆弱な生物だ。 ちょっとしたことで傷つき、ちょっとしたことで簡単に死ぬ。 尋常の手段では、ゆっくりを手にすることなどかなわない。 尋常の手段では。 ならば、尋常の手段でなければどうか。ただ一匹のために、全てのゆっくりが『ゆっくり』を捧げれば、 その一匹だけは十分にゆっくりを満喫できるはず。 そのためだけに、たとえ一匹だけであってもゆっくりがゆっくりらしく生きるという目的のために、 この群れが出した回答が今の形への進化だった。 一世代ごとにただ一匹、そのために費やされてきた数多の犠牲、 その重みが自我に対する絶対的な禁忌として自ずと群れを縛り、そこからはみ出したりーだーをも縛る。 ゆっくりする、という本能を貫くために、ゆっくりしないという新たな性質を本能の中に書き加えた。 その歪な相反する性質が、群れのあり方を縛り付けるのだ。 だから働きゆっくりが自我を持つということは、 それ即ち群れがこれまで積み上げてきた全てに対する根底的な反逆だ。 それを知性の枠の外で本質的に悟っているからこそ、りーだーまりさは恐怖した。 このまりさの処刑が終わった次には自分が呼び出され、 同じようになぶり殺しの目にあう未来を予測し、おびえたのだ。 でも。時間が経つに連れ、りーだーの餡子脳にも平常心が戻ってくるようだった。 (……でも、えーりんさまはいまここにはいないんだぜ) それが少し、心強いことではある。 りーだーまりさはえーりんの信頼を受けているという自信があった。 自分に自我があるという自覚が生まれてからというものの、まりさはずっとゆっくりしないように、 自分が他のゆっくりより優れたゆっくりになるように努力を怠ることがなかった。 何事にも他のゆっくりたちと明らかに異なる反応を示し始めた自分自身を、 えーりんたちに隠しとおせるはずがないと思っていたからだ。 だから、なおさら群れのルールを守り続けることに執着したし、 そのルールの範疇で能力が高いことを示してえーりんの評価を得て身の安全を確保しようとしたのだ。 そして、実際にりーだーまりさはえーりんから高い評価を受けて、ヒラからりーだーの一人にまで引き上げられた。 今でも危険な仕事を優先的に回されたりして忠誠心と能力のチェックは受け続けているが、 えーりんの立会いなくいきなり殺されるようなことはないだろう……その程度には、楽観できると思っている。 と、なると――? 「たぶぇたのびゃっ!? ばっばりざじゃなぎいいいぃぃぃっ!?」 「ゲラゲラゲラ!」 ようやく方向性を見出してきたりーだーまりさの思索――そして現実の働きまりさの処刑も、 そろそろ佳境に差し掛かったようだ。 息も絶え絶えに言いつくろおうとしたまりさの言葉が、途中で聞くに耐えない絶叫に変わる。 悪戯っぽい笑みを浮かべたてゐに、後頭部の頭皮ごと噛み千切られたのだ。 うどんげの耳障りな狂笑に長く尾を引く悲鳴が合わさり、薄暗い洞穴の中に何重にも繰り返し反響する。 「ぐぎぎっ……まりざのっ、がみっ! きれぇながみがぁっ!?」」 「ウサウサ☆ かみのけのしんぱいしてるばあいじゃないでしょ……うどんげー♪」 「ゲラゲラゲラ!!」 激痛という表現も生ぬるい苦痛を受けながら、 ぬすっとまりさは地面を転げまわってその痛みを表現することすら赦されない。 ウサウサと冷たい薄笑いを浮かべるてゐの呼びかけに応じ、 うどんげが素早くまりさを挟んで反対側に回り込んでいた。 耐え切れず、それまで思考のうちに逃避しながらも視線は離すことが出来ないまま 凶行の一部始終を直視していたりーだーまりさがぎゅっと硬く目を瞑った。 だが、その餡子脳の内には予測しうる次の展開が直接目視しているかのように鮮明に描き出されている。 重なるダメージからとっさに逃げ出すこともままならず、悶え苦しむまりさを左右から挟み、 両の側面から同時にかぶりつき、真っ二つに引き裂く――、 「はい、そこまで」 「ゆゆっ、おししょうさま!」 「おししょうさま!」 ――その、直前だった。 「てゐ、うどんげ……ほんとに、もう。つかいでがあるからほどほどに、っていったはずなのに」 輪の外から輪の中心へ、唐突に投げ入れられたため息交じりの冷ややかな声音。 その光景が、まりさの想像を、現実の惨劇を、強制的に中断させた。 働きまりさの両の頬をぐいぐい引き伸ばしていたてゐとうどんげがびくりと身を総毛立たせて振り返った。 慌てて声の主の名を呼ばわった時に死刑執行寸前の犠牲者は辛くも解き放たれて、 かといって自ら起き上がる余力もなくぐったりと地に倒れこむ。 ばつの悪そうな半笑いを浮かべて、てゐとうどんげが振り向いた。 自身を呼びつけた主の登場に、恐る恐るりーだーまりさも振り向いた。 相も変らぬ無機質な面差しのまま、壁成す数多の兵と働きゆっくりも声の主へと向き直った。 そして一同、例外なしに、深々と顔だけの体を前へと傾け声の主へと敬意を示す。 群れの序列にして『ひめさま』に次ぐナンバー2。 皆に『おししょうさま』と称し敬われる、ゆっくりえーりんの姿がそこにあった。 * * * 「ゆぅ。そのこたちがこんどのはたけあらしってわけね?」 数分後。先刻までこの場にあったゆっくりの円陣は、 今は形を方陣に変えてえーりんの前にずらりと並んでいた。 その一角に、えーりんから召集を受けたりーだーまりさ他のりーだー達の姿もある。 ただし、ため息交じりにえーりんが投げた問いかけを受けているのは彼女達ではない。 召集場所で馬鹿騒ぎを繰り広げていたてゐやうどんげ達のほうだ。 「はい、おししょーさま。とーぜん、しけいですよねー?」 っていうか、もうにひきほどころしちゃいまいたしー。 そう笑いながら嘯くてゐには、今は悪びれた様子もない――相方のうどんげは、 いかんせん居心地が悪そうにしていたけれど。 (……ゆ? さっきのさわぎは、えーりんさまのめーれーじゃないのぜ……?) りーだーは、そんな二匹を今はすっかり落ち着いた表情で眺めていた。 状況が、どうもつかめない。さっきの馬鹿騒ぎ、これはこの二匹が勝手にやからした暴走なのか。 ありえる話ではある。この群れではてゐとうどんげは兵ゆっくりのりーだーになるべく 胎生にんっしんっで生み出される(幹部ゆっくりは皆そうだ)ゆっくりで、限定的なものだが全員に 自由意志があった。 特にてゐ種は悪ふざけを好む傾向があり、自由意志を持たない一般のゆっくりがよく彼女達の悪戯の被害にあっている。 今回の騒ぎも罪ゆを一網打尽に捕らえたてゐが、うどんげを巻き込んでいつものように暴走したとすれば それなりに説明はつくようにも思えた。 しかしそれにしては、畑荒らしの捕縛そのものはえーりんも知っていたようだが……、 (そういえば、「つかいでがあるからほどほどに」っていってたきもするぜ) そう、確かにえーりんがここに現れたとき最初にそういっていたはずだ。 ますます、りーだーまりさはわからなくなった。見せしめに潰すのではなく、暴行そのものも目的でなく、ましてや『自我』のある自分の粛清など眼中にないとするなら、いったい何で自分達は呼ばれたのだ。 「ねえあなたたち、はんせいしてる?」 「はんぜいじでまずううぅ! いっじょうげんめいはだらぎまずがら、ゆるじでぐだざいいぃぃ!」 「でいぶももうばるいごどばじまぜんがらあああぁぁぁ!」 「ばりざもごんどごぞびめざばのだべにづぐじまずううぅぅぅ!」 「ひめのだべならじねるうううぅぅぅ!!」 りーだーまりさの困惑をよそに、呼びつけた当の主人は咎ゆっくり達にゆっくりとした様子で話しかけている。 先ほどは処刑劇に気を取られて気がつかなかったが、 みょんやめーりんなどの兵ゆっくり達に囲われて縮こまる咎ゆっくりの数は意外に多かった。 全部で三十は超えるだろうか――りーだーが理解できる数は十までだったから、 この場合は「じゅうにんがみっつぐらい」が正確な表現だ。 ここまで連れて来られる間にも暴行を受け続けていたのだろう、 土や餡子で汚れた顔が口々に訴えるのは異口同音、謝罪と命乞いの言葉。 その聞き苦しい哀れみを請う声の数々に、えーりんはにっこりと穏やかな笑みを返す。 「そう! それはとてもすばらしいわ。じゃあ、ひとつしごとをあげるから、ゆっくりしないでがんばってね?」 「……ゆ!? はい、はい、はいぃぃっ、がんばりまずっ!」 字面だけとれば、いかにも慈悲深いえーりんの言葉。 それを額面どおりに受け取って、文字通り泣いて喜ぶ無邪気な同種の姿とは裏腹に、 りーだーまりさははますますゆっくりできない思いを深く募らせる。 感謝の言葉を受けるえーりんの微笑みは、うわべだけの優しさだ。 細められた瞳の奥にある底冷えするような光を、りーだーはよく知っている。 結局、りーだーたちが召集された理由も、咎ゆっくりがここにいる理由も、何もはっきりしていない。 本題は、ここからはじまるのだろう。 「ということだから、まりさ。りっぱなゆっくりにしてあげてね」 「ゆっ。ゆっくりりかいしたんだぜ」 ほら来た。唐突にこちらを振り向き告げたえーりんの笑顔に、りーだーはもう驚かなかった。 散々待たされ、脅かされて、既にりーだーまりさの腹は据わっていた。 もう、この場に呼ばれたときの幻想も、容赦のない制裁を見せ付けられたときの恐怖もない。 どうにもならないことなら、告げられるままに受け入れるまでだ――少なくとも、 今この瞬間はそう思っている。 「……それで、まりさたちへのごようはなんなのぜ?」 「……あなたはほかのことちがってりかいがはやくてたすかるわ」 罪ゆっくりをぐるーぷに加えるだけですむはずがない。 そこまで感付いたあたり、りーだーの餡子脳は他のゆっくりより多少優れていたかもしれない。 とはいえ、それは所詮『多少』のこと。次に告げられた命令の内容は、 腹を据えたはずのりーだーの覚悟を軽く突き崩すものだった。 「こんど、よそからきたむれとのいくさがあるの。そのいくさのせんぽうをつとめなさい。このこたちを、あなたたちのぐるーぷにくわえてね」 「…………ゆっ?」 頭をがつんとこいしさんで殴られたような衝撃を受け、りーだーはぽかんとえーりんを見返した。 同じように集められた他のりーだーの内の何匹かも、同じような顔をして呆けていた。 それに気付いて、りーだーまりさは自分以外にも自我を持つりーだーがいたのだ、と薄ぼんやりとした思考の内に初めて知った。 もちろん、その新たな発見は、彼女達がえーりんに命じられた内容を理解する助けにはならなかったのだけど。 そう、それは戦った事などない働きゆっくりたちに、 他の群れとの戦の先陣を勤めろとの無理無茶無謀を極めた理不尽な命令。 無駄に死ねと告げているのと、まったく何も変わらない命令。 えーりんは、無駄に言葉を繰り返さない。ただ、自失するりーだーたちの様子がおかしいとでもいうように、穏やかな微笑みを湛えているだけだ。 りーだーまりさはただその笑顔を愕然とした表情で見返し、ただただ絶句するしかなかった。
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『ゆっくらいだーディケイネ』 これまでのゆっくらいだーディケイネは! それはさておき、主題歌が完成しました。 「ゆゆーゆゆーゆーゆー♪ゆゆーゆゆーゆーゆゆーゆゆー♪ゆーゆーゆゆーゆー♪」 「ゆゆーゆゆーゆーゆー♪ゆゆーゆゆーゆゆゆゆーゆゆー♪ゆーゆーゆゆーゆゆー♪」 … 「まさかとは思うけど、『ゆ』だけで一曲歌いきるつもりじゃあないでしょうね?」 「「ゆぐふっ!」」 (図星か…) 第7話 真贋 「ここのあたりで竹林というと、ここぐらいしかありませんね」 めぐに案内され、紅里、れいむ、まりさは竹林の前までやってきた。 『迷いの竹林』などという大それた名前はついていないようだが、結構広いと思われるその竹林は 「迂闊に足を踏み入れてみろ、全員迷子にさせてやるぞ」と言わんばかりの雰囲気が漂っている。 「それで、これからどうするんです?中に何かあるんですか?」 めぐが当然の疑問を投げかける。彼女からしてみれば月が歪んだ現象とこの不気味な竹林の関係など わかろうはずもない。 「たぶんこの中に永遠亭…とかなんとかいう名前の屋敷みたいなものがあるんだと思うから、そこに行くのよ」 「なんだか確信があるのかないのかわからない口ぶりですね…それで、それはいったい竹林のどこに…」 「…あっ」 紅里が間抜けな声をあげる。そういえば、白玉楼?の時は案内板があったが紅魔館?の時はなかった。 竹林がある、ならそこだと思ってとりあえず来てみたものの少々勇み足だったかもしれない。 「どうやらお困りのようね!」 「誰!?」 竹林の中から声がした。声の主の気配が次第に近づいてくるのがわかる。 その正体は… 「れいむだよ!」 「紛らわしいわ!」 いつのまにか竹林に入っていたれいむだった。 「まりさもいるよ!」 「そうね。それでれいむ、あんた何か知ってんの?」 続いて出てきたまりさを軽くあしらって、何か知っていそうなれいむに尋ねる。 相手が相手だけに情報の信憑性は疑われるが、それでもまぁ何も無いよりはマシだ。 「ゆふふ…おねえさんがのんきにでょろでょろ歩いてる間にれいむ達は情報収集していたんだよ」 「のんきで悪かったわね。あと私はそんな不気味な足音鳴らして歩いてない」 「捜査の基本は足なんだぜ!」 「あんたら足ないでしょうが」 「あのー、話が進まないんですが…」 「じゅー、じゅーいち、じゅーに」 「じゅーさん、じゅーし」 「さっきからなに数えてんの?」 「ついてきてね!」とだけ言われた私達はそれに従い、先行するれいむとまりさの後ろを歩いている。 いい加減、何を知っているのか教えてもらいたいところだ。 「竹だぜ!じゅーご、じゅーろく」 「じゅーなな、ここだよ!」 れいむとまりさが「17」の所で立ち止まった。 「17本目の竹を左に曲がったところにあるんだよ!」 「ふーん…」 その言葉に従い、私達は全員左に曲がる。 「誰に聞いたの?」 「うさぎさんだよ!」 今度は、私の足が止まった。永夜抄の世界、竹林、親切に情報提供してくれるうさぎ。 まさか… 「ゆっ?どうしたの?」 「…そのうさぎさぁ、もしかして、耳がぺたんって前に垂れてて、ウェーブかかった黒髪で、なんかにやにや笑ってなかった?」 「すごいぜおねえさん。その通りなんだぜ」 「…じゃあ多分、こっちよ」 私はくるりと後ろを向いた。こっちという確証は無いが、少なくともこのまま進んでも目的地には辿り着けないだろう。 「おねえさん、なに言ってるの?」 「まりさ達の情報が信じられないの?」 「情報というか、情報提供者というか…たぶんあんたら、だまされてるわ」 「そうなんですか?」 「そんなわけないのぜ!人を疑うのはよくないんだぜ!」 「人じゃないじゃない」 「こうなったら…」 「「麻雀で勝負だよ!」」 「何故そーなる。私もあんたらも作者もルール知らないでしょうが」 (まーじゃん?) -しばらくお待ちください- 「じゃあ、そういうことで」 だまされてる、だまされてないの言い合いにいい加減飽きた私達は二手に分かれることにした。 私とめぐが右ルート。 れいむとまりさが左ルート。 「人のことを信じられないおねえさんは、この竹林の竹の、竹の、えーっと…たけのこ!」 「最後まで考えてから言いなさい」 「ほえ面かくがいいんだぜ!賞品のおこめ券はまりさたちがいただくんだぜ!」 「そんな約束しましたっけ…」 ぷんすかと怒りながら、れいむとまりさは左ルートに消えていった。 「よかったんですか?行かせちゃって」 未だに事態を飲み込めていなさそうなめぐが尋ねてきた。 「とは言ってもここで問答しててもどーにもなんないしね…まぁ、あいつらならたとい宇宙空間に放り出されても 平気な顔してるだろうし、何かあっても大丈夫でしょ」 「うちゅ…?」 めぐが少し困ったような顔をする。ああそうか、宇宙とかそういうのは知られてないのか。 「とにかく、あいつらなら大丈夫。ほっときゃ何事もなかったかのように戻ってくるわよ」 「…」 きっぱりと言い切ると、めぐの視線が困惑から何か妙なものに変わった。なんかくすぐったい。 「…何よ?」 「信頼、されてらっしゃるんですね」 ふふっ、と微笑みながらそう言っためぐに対し、私は思いっ切り噴き出した。 程なくして、私達は竹林の中にひっそりと建つ屋敷へと到着した。 「本当に着いた…」 「…『永遠T』って書いてある」 洒落を利かせたつもりだろうか。スベっているわけだが。 「とりあえず、入りましょうか」 門の中に入ると… 「ゆっくり立ち止まってね!」 やはり、ここでも門番チックなのが出てきた。声のした方を振り向くと、物置の上にゆっくりが一人いる。 紅魔館?の門番とは違い本物のウサ耳が生えている、いわゆるイナバという奴だろう。 「お屋敷の平和をゆっくり守るイナバ一号、参上!」 「あー………ん?『一号』?」 その名に疑問を投じた時、別のイナバが出てきた。 「イナバ二号、参上!」 「あの、私達は…」 「イナバ三号、参上!」 「イナバ四号、参上!」 わらわら出てきた。 「イナバ五号、参上!」 「イナバ六号、参上!」 (中略) 「イナバ百七十七号、参上!」 「イナバ百七十八号、参上!」 「「「「「我ら…」」」」」 「………」 「すー…すー…」 「「「「「ゆっくり起きてね!」」」」」 「おわっ」 「ふぇっ!?あっ…すみません!長かったもので、つい…」 四十くらいまでいった時、めぐが力尽きて寝入ってしまった。 私も七十いくらかまでは耐えたのだが、そのへんからうとうとしだして記憶が途切れ途切れになっている。 改めてみるとまぁ…凄い数だ。物置の上にゆっくりが178人… 「…その物置、大丈夫なの?なんかミシミシいってるけど」 「「「「「さすがイナバ!100人のっても大丈…ゆわああああああああ!」」」」」 『100人のっても大丈夫』だと思われる物置は、178人の重量の前にあえなく轟沈した。 …全滅、でいいのかな。これって。 「…行きましょうか」 「………はい」 労せず番人を突破できた私達は、永遠Tの中に踏み込んだ。 「…それで、何の御用かしら?」 永遠Tの中をうろうろしていると、『耳がぺたんって前に垂れてて、ウェーブかかった黒髪で、なんかにやにや笑ってる』イナバが いたので実に平和的な交渉を行い、ここのトップ…かぐやとえーりんに接触する事に成功した。 やたら広い和室にかぐやとえーりん、私とめぐが向かい合って座っている。 「はい…あの月を元に戻して欲しいのです。月が歪められた事により妖怪たちは困惑し、人間に危害を加えるようになっています。 なにか事情がおありでしたら私達も協力しますので、どうか…」 最初かぐやを見たとき、自分の変身するグウヤそっくりなのに驚いていためぐだが、今はもう平静になっている。 それほどこの月の異常に関して真剣なのだろう。『人間に危害』って言ってもまぁ…アレなんだけど。 「つまり、こういう事ね…『月が歪められた事で妖怪たちが困惑し、人間に危害を加えるようになっている。 事情があるなら自分達も手伝うから月を元に戻して欲しい』と…」 「姫、それそのまんまです」 「わかってるわよ!…とにかく、月は戻せないわ。私がゆっくりできなくなるもの」 「そんな…なんとかならないんですか!?」 「…あのさー」 盛り上がっている所に釘を刺すようで気が引けたが…こちらには情報がある。ここで使わない手はないだろう。 「もし『月からの刺客が来ないように月との道を閉ざしてる』とかだったらそれ多分、意味ないわよ。ここら一帯は結界で覆われてるから、 ンな事しなくても刺客なんか来ないわ」 「「えっ?」」 かぐやとえーりんが顔を見合わせる。やっぱ、動機も原作通りか。 (ちょっ…えーりんどういうことよ?あなたが言ったんでしょう『月から刺客とかマジパネェ』って!) (いや、でも結界なんてほら思ってもいませんでしたし…) (どーすんのよ!私達めっちょかっこ悪いじゃない!せっかく月隠したっていうのに『全然意味なかった』って!) (姫、ここはひとまず…) 二人は部屋の隅のほうに移ってひそひそ話をしていたが、まとまったようだ。元の位置に戻ってきた。 「…何を言っているのかしら。愚かでアレな地上のアレのアレすることなんて信用できないわ」 「…ひょっとして、意地張ってる?」 「はってない。だんじて。とにかく月は戻せないわ。とっとと帰ってね!」 「出来ません!せめて理由を!」 理由って言っても…どう見ても意地っ張りです。 どうしたものかと考えていると、必死で訴えるめぐに突然、えーりんが弾を撃ってきた。 「なっ!?」 おそらく威嚇だったのだろう。弾はめぐの足元の畳に当たり、煙をあげる。 「申したはずです。月は戻せないと。あまりしつこいようだとこういった手段をとらざるを得ませんが?」 「…面子守るためとはいえ、ちょっとやりすぎじゃない?」 部屋の空気が重くなる。もはや衝突は不可避だろう。 月の件を諦めるというなら話は別だが。 「わかってないようね。上に立つものとして、面子がどれだけの意味をもつか」 「わかりたくもないわね。上に立つと、器がちっちゃくなるなんて事は」 「やるしか…ないんですね…」 めぐが枝を取り出した。覚悟を決めたようだ。 「えーりん、相手は二人。私も手伝おうか?」 「いいえ姫、それには及びません。どうぞゆっくりなさってください。実はこんな事もあろうかと…」 戦列に加わろうとするかぐやをえーりんが制する。そして、私達が入ってきたのとは別の襖が開いた。 そこにいたのは… 「うっどんっげちゃぁ~ん♪…うどんげちゃんはぁ、おねえさんの事好き? おねえさんはぁ~…うどんげちゃんのこと、だぁ~い好きだよぉ~♪」 「ケラ…………ケラ…………」 虚ろな目で乾いた笑いを口から漏らすうどんげと。 そのうどんげを抱き、鼻血を垂らし、恍惚の表情で頭をゆっくり優しくなでている伝子だった。この人こわい。 数秒遅れて襖が開いたのに気づいたのか、顔をゆっくりと上げてこちらを見た。 「あ~…かぐやちゃんにえーりんちゃんだぁ~…二人とも、おねえさんと一緒にぃ、ゆっくりしようよぉ~♪」 「なに言ってるの!ちゃんとしてね!」 「えぇ~…?」 ぽやーっとした顔で、ゆっくりと頭を動かし…ようやく私達を認識したらしい。 抱えていたうどんげをそっと傍らに置き(あ、逃げた。気持ち悪かったんだなきっと)、ユルみきった顔を引き締めて こちらに指をさした。 「しばらくぶりね!紅里!」 「鼻血をふけ」 「…お知り合い、なんですか?」 「残念ながらね。あいつは森定でんこ、見ての通り変態よ」 「つたこよ、つ・た・こ!それに誰が変態よ!人よりちょっぴりゆっくりが好きで好きでたまらないだけよ!」 あいつの世界の「ちょっぴり」は私の知っているそれとだいぶ違うらしい。今度聞いてみ…いややめておこう。 伝子は鼻血を拭き、改めてこちらに向き直った。 「さて…状況を見るに、あなたは姫と敵対してるって事でいいのかしら」 「そうね。状況を見るに、あなたはかぐやに懐柔されたって事でいいのかしら」 「待ってください!」 私と伝子の間に流れる険悪なムードを切り裂いて、めぐが間に割り込んできた。 「伝子さん、あなたは紅里さんのお知り合いなんでしょう!?それに今、月の異常のせいで多くの妖怪や人間が困っています! 私達が戦う理由なんて無いはずです!」 「無駄よ。あのゆっくりジャンキーがゆっくりと敵対なんてできるはずないわ」 「そうね。ゆっくり相手に戦うなんて、考えただけでも恐ろしいわ」 「そんな…!本当に裏切ったんですか!?」 「裏切るも何も、私は元よりすべてのゆっくりの味方よ!」 そういうと、伝子は外に飛び出した。表でやりあうつもりらしい。 「めぐ、あの変態は私がなんとかするわ。こっち頼める?」 「…はい」 とはいええーりんの力は未知数、それにかぐやもいる…早々に伝子との決着をつけて、こちらに加勢する必要があるだろう。 短期決戦を決意し、私も外へと駆けて行った。 永遠Tの庭、歪められた月明かりの下で私と伝子は対峙している。 「ゆっくらいだー同士の戦い…こんなに早く来るなんてね」 「あんたがかぐやサイドについたからでしょうが」 私達は同時にメダルを取り出し、ロケットを開いた。 「私の強さに最初から最後まで釣られてみる?答えは聞いてないわ!」 「混ざってるわよ」 「「変身!」」 『『ユックライドゥ!』』 『ディケイネ!』『ディ・エーーイキ!』 変身後、先に動いたのはディエイキだった。 「先手を打たせてもらうわよ!」 2枚のメダルを取り出し、ロケットに挿入する。 『ユックライドゥ!れいむ!』 『ユックライドゥ!まりさ!』 「なっ!?」 ディエイキが呼び出したのは、黒髪に赤いリボン、金髪に黒いとんがり帽子のよく見知ったゆっくり… 「ふっ、仲間と同じ姿のこの二人、あなたに撃てるかしら?」 ディケイネは長年一緒に暮らしてきたゆっくりれいむを撃てるのか!? ディケイネは一緒に旅をする仲間であるゆっくりまりさを撃てるのか!? ディケイネの脳裏に、二人との思い出が浮かび上がる… 『おにいさんおかえり!ゆっくりしていってね!!!』 『ただいま…それと、前々から言おうと思ってたんだけど私は男じゃないわよ』 『ゆっ!?そうなの!?』 『そのうち気づくかなーと思って放っておいたんだけど…ダメだったか。たまに間違われるしね。 ほら、ブラジャーだってしてるわよ』 『見栄で?』 『おい』 『ちょっとまりさ!あんた私のケーキ食べたでしょ!』 『ゆっ!?知らないぜ!ケーキなんか食べてないんだぜ!』 『…言い方が悪かったわ。あんた、私のケーキの『イチゴとクリーム』食べたでしょ!なんで綺麗にスポンジだけ残してるのよ!』 『まりさは大変なものを盗んでいったんだぜ!』 『待ちなさい!』 『おねえさん、そういえばおねえさんはどうして胸のことになるとすぐ怒るの?』 『………あんたがそれを聞く?あのねえ………私も最初はコンプレックスなんてなかったわよ。 でもあんたらがさも欠点であるかのように言い続けたおかげで気になってしょうがなくなっちゃったんでしょうが!』 『スペルライドゥ!野符「将門クライシス」!』 撃てる! 撃てるのだ! 「マサカード・クライシィス!」 しかもけっこうノリノリで! ディエイキの呼び出したれいむとまりさは、弾幕の中に消えていった… 「ありがとう、なんかスッキリしたわ」 口を開けて呆然としていたディエイキが、我に返って次のメダルを取り出す。 『スペルライドゥ!罪符「彷徨える大罪」』 「なんて事するの!この鬼!悪魔!」 「うるさい閻魔」 『スペルライドゥ!終符「幻想天皇」』 「あっちは派手にやってるわね」 一方こちらは室内。対峙するのはめぐとえーりん。かぐやは後ろに控えている。 「もう一度聞きます。どうしても、月を元には…」 「くどいわ」 質問の回答は、それが終わる前に4文字でぴしゃりと返された。 「そうですか…ならば!」 めぐは蓬莱の玉の枝を取り出し、虚空を真横に斬るように振り払い、頭上に掲げ叫んだ。 「変身!」 枝から発せられた光に包まれ、ゆっくらいだーグウヤへと変身する。 その姿を見たえーりんは驚いた…が、すぐにその表情は怒りへと変わった。 「なんてこと…愚かな地上の人間ごときが、姫と同じ姿になるなんて…」 だがそれに構わず、グウヤは攻撃を開始する。 「行きます!龍の頸の玉!」 五色の弾、そしてレーザーが無数に出現し、時間差で次々とえーりんに襲い掛かる。 しかしえーりんが少し動いただけで一発も命中する事は無かった。 「ならば!火鼠の皮衣!」 炎の弾をバラまき、散らすもえーりんは難なくそれらをかわしていく。 「やはり、愚かね…その姿は姫の模倣。その技も姫の模倣。私は姫の事ならなんでも知っている。 美しさも、知性も、技も…」 えーりんの反撃が始まる。発せられた弾がそれぞれ不規則な軌道を描き、グウヤに襲い掛かった。 「くっ…仏の御石の鉢!」 グウヤは仏の御石の鉢を出してその弾を受け止める。 「そして…その弱点も」 「!」 突如としてグウヤの真下の床が光る。下から来る。だが、鉢は周囲の弾を捌くのに手一杯で、下に回す余裕はない。 回そうものなら今度は周囲を飛び交う弾にあたってしまう。 「あああああッ!」 なす術なく、下からの攻撃をモロにくらったグウヤは鉢ごと吹っ飛ばされた。 「めぐ!」 「甘いわよ!」 悲鳴に反応してめぐの方を振り向いたせいで反応が遅れた。ディエイキの放った弾の直撃を受け、 私はグウヤの傍らに吹っ飛ばされた。 「ぐっ!」 「ううっ…」 私もグウヤも、ダメージにより変身が解除される。 庭からディエイキ、室内からはえーりんと、その後ろのかぐやがゆっくりと近づいてくる。 「どう?少しはわかった?力の差が。わかったのならさっさと帰ってね!」 「『偽者』のゆっくりであるあなた達が、『本物』の、それも月のゆっくりに敵うわけないじゃない!」 かぐやとえーりんが容赦のない言葉を浴びせてくる。その言葉にまず反応したのは、私ではなくめぐの方だった。 「はぁっ…はぁっ…『本物』…?」 「そうよ!あなた達のような姿を変えてゆっくりになる『偽者』と違って私と姫は『本物』、ナチュラルボーンゆっくりなのよ!」 「はぁっ…確かに…」 傷ついた身体に鞭打って、めぐが立ち上がる。その手に蓬莱の玉の枝を握り締めて。 「確かに…私達は、道具を使って変身する…人間です…。…本物のゆっくりとは、言えないかもしれません…」 「『かも』じゃないわよ!なに言って」 「しかしッ!」 キッ!とかぐやとえーりんを睨む。その視線に二人は思わずすくんだ。 「ゆっくり達の言う『ゆっくりしていってね』という言葉は、他の誰かに…相手にゆっくりしてもらいたいという気持ちを意味する言葉。 決して自分達が、自分達さえゆっくりできればそれでいいという意味ではありません。 月を歪め、妖怪を人間をゆっくりできなくしているあなた方に…果たして『本物』を名乗る資格がありますか!?」 「なっ…」 「姫に向かって、なんと無礼な!」 狼狽するかぐやとえーりん。そして、もう一人… 「『本物』の…ゆっくり…」 ディエイキもまた、揺れていた。 自分はゆっくりが好きだ。愛していると言ってもいい。それこそ、人間を敵に回してでも守りたいほどに。 しかし、自分はゆっくりの何が好きなのだろう。いったい何が『ゆっくり』なのだろう。 見た目だけ、ゆっくりの姿かたちをしていればそれでいいのだろうか? 確かにそれも重要だ。しかし、それでは完全ではない。 自分がゆっくりを好きな理由の一つ、それはまさにさっきあの少女が言った「他者をゆっくりさせようという気持ち」もあるのではないか。 相手の都合なんか一切考えず、ただゆっくりさせようとする…そんな身勝手で、図々しくて、そして…優しい存在。 そういうところにも自分は惹かれたはずだ。 しかし、ならば、このかぐやとえーりんは… 「ちょっと、なにしてるの!?やる気あるの!?」 えーりんが怒鳴った先を見ると、伝子が変身を解除していた。 「ごめんなさい…私…なんだかわからなくなって…」 「もういいわ!ゆっくりどっか行ってね!」 「えーりん、私も手伝うわ。早くとどめを!」 ディエイキが抜けて、かぐやが入った。私はふーっと一息吐いて、めぐの隣に立ち上がった。 「紅里さん…」 「やれやれ…ホントはさっきみたいなカッコいい事言うのは私の役目なんだけどね。 まあいいわ…いけるわね」 「はい!」 めぐは蓬莱の玉の枝をかかげ、紅里はメダルを取り出しロケットを開く。 「「変身!」」 『ユックライドゥ!ディケイネ!』 二人は再び変身した。同時に、ディケイネのポシェットから3枚のメダルが飛び出す。 「随分と好き勝手言ってくれたわね…でも、今度はこっちがキメるわよ!」 『ファイナルフォームライドゥ!ググググウヤ!』 「えっ?わわっ!」 「何!?」 グウヤの身体が変形する。その姿は巨大な一本の蓬莱の玉の枝。 「何かするつもり…?させないわ!えーりん!」 「はい!」 かぐやとえーりん、二人が放った無数の弾丸が発射される。 『ラストスペルライドゥ!ググググウヤ!』 ディケイネはラストスペルを発動させ、蓬莱の玉の枝で床を叩く。すると、床から次々に『何か』が生えてきた。 かぐや達の放った弾は突如としてそそり立った『何か』に遮られ、ディケイネ達に到達する前に霧散していく。 「これは!?」 左右から迂回するコースをとっていた弾も、次々と生えてくる『何か』にぶつかり次々と消滅していく。 床から生えてきた『何か』…それは樹だった。蓬莱の玉の枝をいっぱいにつけた、蓬莱の樹だった。 「高密度弾幕を展開する『蓬莱の樹海』はッ!」 『既にあなたたちの周り半径六丈六尺!』 そう…蓬莱の樹がそそり立つ蓬莱の樹海、それはかぐやとえーりんを中心に半径20メートルにまで及んでいた。もはや脱出は不可能。 「え、えーりん!助けてえーりん!」 「こんな…!『偽者』が、こんな…」 スペルが最終フェイズに移り、蓬莱の樹が一斉に輝いた。 聳え立つ木々より発せられる弾幕の大洪水。 その名は 「 蓬 莱 の 樹 海 」 「「「うわああああああああああ!!!」」」 かぐやとえーりんは、その奔流の中に飲み込まれた… その夜、妖と人の頭上に月が昇った。歪でない、元通りの月だ。 「おー、戻った戻った」 「これで一安心ですね」 紅里とめぐは、永遠Tの縁側からそれを確認した。 そしてその後ろには… 「これでいいんでしょ!後は煮るなり焼くなり好きにしたらいいわ!」 「天ぷらにしてもおいしいわよ!」 ボロボロのかぐやとえーりん。ここまで完膚なきまでに打ちのめされてはもう面子も何も無い。 敗者の運命は勝者に委ねられるものだ。 「…」 「「ひっ!」」 めぐがゆっくりと歩き出す。二人の身体がビクッと震えた。 そしてめぐは…両手で二人の頬を撫でた。 「…なに言ってるんですか?」 「「えっ?」」 「はぁ…あんたらまだわかってないの?」 その続きを語るように、めぐはゆっくりと言葉をつむいだ。 「私達も…『偽者』でも一応、ゆっくりですからね。他者をゆっくりさせたいという思いは持っています。 そしてそれは、あなた達も対象になってるんですよ?」 「許して…くれるの?」 「はい。一緒に、ゆっくりしましょう」 そしてめぐは、二人をゆっくり抱きしめた。 「…しょうがないわね!そこまで言うんだったらゆっくりさせてあげてもいいわよ!」 「態度でかいわね…」 「それはまあ、姫ですからね」 強くはあるが、めぐはまだ幼い。これから先、この世界で一人では立ち向かえない危機に陥るかもしれない。 だがそれを心配する必要はなさそうだ。彼女にはこの日、月からやってきた頼もしい味方が出来たのだから。 「たっだいまー」 紅里は永遠Tで一夜を過ごした後、えーりんから傷の治療を受けてその日のうちに自宅に戻った。 が、れいむとまりさの姿は無かった。もしやまだ迷子になっているのだろうか。 (流石に、探しに行った方がいいかな) そう考えているとタイミングよく玄関から音がした。 「「ゆっくり帰ったよ!」」 なんだ、やっぱり心配なかったんじゃないかと玄関まで出迎えに行くと… 「…何があったの?」 二人は大量の花束と、何かいいにおいのする包みを持っていた。 「あのあと大変だったんだぜ!竹林を抜けたら、なんかライブ会場みたいなところに出て…」 「それに飛び入りゲストとして参加してきたんだよ!」 左ルートってそうなってたんだ。良かった行かなくて。 「ライブって、何やったの?」 「もちろん歌ったよ!」 「何を?」 「ゆゆーゆゆーゆーゆー♪」 「冒頭のアレ!?」 まさかアレが伏線になっていたとは考えもしなかったろう。今思いついたことだし。 「ところで、これは?」 「お土産だよ!」 包みを開ける…中身は鰻の蒲焼だった。 「おー、いいわね。それじゃあご飯にしようか」 「その鰻の使い方、Yesだね!」 私達は部屋に入り、夕食の準備を始めた。 時刻はもう夕暮れ時、なんやかんやで昨夜はあんまり寝てないし、今日はご飯食べたら早いとこ寝てしまおう。 次の世界がどんなところかはわからないけど、とりあえず… 治ってるといいな、生活リズム。 -つづく- [ おまけ ] き ょ う の で ん こ ゆっくりを、裏切った。 かぐやとえーりんを、裏切った。 敵対こそしなかったものの、一方的に協力関係を打ち切ってしまった。 (これで…良かったのよね…) 勝手に戦線を抜けてしまった後ろめたさはあるが、逆にそれを除けば伝子の心は不思議と晴れ渡っていた。 (見た目に捕われてゆっくりの本質を見失うなんて…私もまだまだね) 『私が一番、ゆっくりを上手く愛すことができるんだ!』と思っていたが、ゆっくりとしての本質を見失っていた事に気づけなかった。 (そう、まだまだ…ゆっくりすととしての修行が足らないわ…) なんだそれは。 (あ、そうだ。それはさておき帰る前にうどんげちゃんに挨拶しとかなきゃ) そう思い立ち、伝子は縁側にあがり…室内はなんだか盛り上がっているようなので迂回するような形で うどんげの去っていった方へと向かった。しかし廊下をすたすた歩いていると、突然… 「わっ!?」 床から何かが生えてきた。 「えっ?ちょっと、なになに?」 見回すと、周囲は次々と生えてきたそれに囲まれていた。見たところ樹のようだが… 「これって確か、あの子の持ってた…」 そーっと樹に手を伸ばす…と、樹がまばゆく輝き始めた。 「へ?」 そして、そこから発せられる弾幕の海へと… 「ちょっ!待っ…」 飲み込まれていった。 「「「うわああああああああああ!!!」」」 ← かぐや & えーりん & でんこ [ おまけおしまい ] 書いた人:えーきさまはヤマカワイイ この作品はフィクションです。ゆえに実在する人物だのなんだのとは一切関係ないんじゃないかと思います。 NEXT 第8話 月の都(脚本→→かに氏) <撃てる! <撃てるのだ! ワロタw ここのシーンのテンポよすぎw -- 名無しさん (2009-07-05 23 12 14) 名前 コメント
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